大型クロマグロ漁獲枠 15%増加で正式合意 中西部太平洋で

太平洋クロマグロなどの資源管理を話し合う国際会議は、日本の近海を含む中西部太平洋での、大型のクロマグロの漁獲枠を15%増やすことで正式に合意しました。これによって、日本が漁獲できる量は大幅に増えることになります。

中西部太平洋まぐろ類委員会の会議は、今月1日から7日までオンライン形式で開かれ、日本やアメリカ、パプアニューギニアといった島しょ国が参加しました。

会議で焦点となった太平洋クロマグロの資源は回復傾向にあるとして、日本近海を含めた中西部太平洋での大型のクロマグロの漁獲枠を15%増やすことで正式に合意しました。

日本は、これまで4年連続で増枠を求めてきましたが、認められるのは今の漁獲規制が始まった2015年以降で初めてです。

これによって、来年、日本が漁獲できる大型のクロマグロは732トン増えることになります。

また、小型のクロマグロの漁獲枠の10%分を大型魚に振り替えられる措置の活用によって、さらに188トン増えることになり、太平洋での全体の漁獲枠は920トン増加することになります。

一方、小型のクロマグロについては、現在の漁獲枠を維持するとともに、メバチやキハダなどについては、今の資源管理を2年間継続することになりました。

水産庁は今後、審議会で各都道府県などへの割りふりを議論することにしています。

水産庁「日本の資源管理 認められた結果」

水産庁の高瀬美和子審議官は、記者会見で「これまで増枠の提案をしても、なかなか認められなかったが、長年、日本の漁業者が資源管理に苦労しながらも、熱心に取り組み、資源が回復していることが国際的にも認められた結果だ」と述べました。

太平洋クロマグロ交渉の経緯

マグロは、
▽高級マグロとしてトロなどに使われるクロマグロとミナミマグロと、
▽大衆マグロとして赤身などに使われるメバチとキハダ、ビンナガに大きく分けられます。

クロマグロは、世界的に需要が増えて乱獲による減少や枯渇が懸念されていることから各国が連携して太平洋と大西洋などで資源の管理に取り組んでいます。

このうち大西洋クロマグロの資源管理を行う国際機関は、資源が回復しているとして、先月、西大西洋での来年の漁獲枠を16%増やすことで合意しました。

一方、日本近海を含む太平洋のクロマグロについては「中西部太平洋まぐろ類委員会」で毎年、国や地域ごとに漁獲枠が決められてきました。

委員会では資源の減少を受けて、漁獲枠の削減を行ってきました。

2014年には世界の野生生物の専門家などでつくるIUCN=国際自然保護連合が「絶滅する危険性が増大している」として太平洋クロマグロを絶滅危惧種に指定し、資源保護を求める声が高まりました。

この翌年の2015年、委員会は(開催は2014年)重さ30キロ未満の小型のクロマグロについて年間の漁獲量を2002年からの3年間の平均に比べて、半分に抑えるという規制を設けました。

また2017年には(委員会開催は2016年)重さ30キロ以上の大型のクロマグロについて年間の漁獲量の上限を2002年からの3年間の平均とすることになりました。

こうした漁獲規制によって資源は回復傾向にあるとして、日本は2018年の会合で漁獲量の上限を15%引き上げるよう提案しました。

これ以降去年まで3年連続で引き上げを提案し続けましたが、アメリカなどの反対でいずれも合意には至りませんでした。

そして、4年目のことしは夏から開かれた委員会の下部組織の会合で、引き上げを提案する日本の主張が一定程度認められ、大型のクロマグロの漁獲枠を15%増やすことで合意されました。

水産庁「資源は回復傾向」

太平洋クロマグロの資源について水産庁は回復傾向にあると主張してきました。

水産庁によりますと太平洋クロマグロの親の魚の資源量は1990年代後半は5万トン以上ありましたが2010年には1万トン余りにまで減少。

しかし、徐々に資源量が回復し、2018年にはおよそ2万8000トンになったと説明しています。

高知 すくも湾漁協組合長「増加漁獲枠の配分に配慮を」

大型のクロマグロの漁獲枠を15%増やすことが正式に合意されたことを受けて、高知県内で有数のマグロの水揚げを誇る宿毛市の漁業協同組合では、漁獲枠の拡大に期待する声が聞かれました。

国は、クロマグロの資源を保護するため全国の都道府県ごとに漁獲量の上限を設けていて、高知県では、年間の漁獲量の上限を大型と小型のマグロ、合わせて106トンほどに定めています。

高知県内有数のマグロの水揚げがある宿毛市のすくも湾漁協の浦尻和伸組合長は「新型コロナの影響もあり、厳しい状況にある漁業者にとって、マグロの漁獲枠の増加はとてもうれしい。今後、増加した漁獲枠が各都道府県に配分されると思うが、現状では高知県への漁獲枠の配分が足りていない状況にあるので配慮してほしい」と話していました。

大間のマグロ漁師「非常に喜ばしい」

中西部太平洋での、大型のクロマグロの漁獲枠が増えることについて、青森県大間町で60年以上マグロ漁を続けている小鷹勝敏さんは「最近は天気がよくても漁獲枠で制限されるため、漁に出られない日も多かった。漁獲枠が増えるのは非常に喜ばしいと思う。枠が満足に持てない漁師もたくさんいたので大変ありがたいです」。