WHO「血しょう治療」推奨せず 死亡率低下の証拠見つからず

新型コロナウイルスに感染し、回復した人の血液の成分を患者に投与する「回復者血しょう」を使った治療について、WHO=世界保健機関は死亡率の低下などにつながる証拠が見つからなかったとして患者への投与は勧められないとする指針を公表しました。

WHOは新型コロナウイルスに感染し、回復した人の血しょうを患者に投与する「回復者血しょう治療」について世界各地の1万6236人に行った臨床試験を分析し、7日、治療に対する新たな指針を公表しました。

それによりますと、「回復者血しょう」の投与で▽死亡率が低下したり▽人工呼吸器を必要としなくなったりする証拠は見つからなかったとしています。

それにもかかわらず、この治療法は高額で設備の管理に時間がかかるとして、WHOは患者への投与を推奨しないとしています。

新型コロナの患者への「回復者血しょう治療」は去年から各国で研究が進められ、アメリカでは緊急の使用が許可されましたが、その後、死亡率の低下などにつながらないとする研究結果が相次いで発表されていました。

新型コロナの治療薬について、WHOは▽軽症患者などに対して2種類の薬を同時に投与する「抗体カクテル療法」、▽重症化した患者については「デキサメタゾン」のようなステロイド剤や、日本で開発された関節リウマチの治療薬「アクテムラ」などの投与を推奨しています。