楽天 送料無料制度“独禁法違反の可能性”で改善措置申し出

ネット通販の「楽天市場」で9割以上の出店者が参加する送料無料の制度について、公正取引委員会は6日、参加しない店をサイトの上位に表示しないと説明するなど、優越的な地位を利用した独占禁止法違反の可能性があるという判断を示しました。楽天はこうした行為を取りやめ、制度の参加には店の意思を尊重するという改善措置を申し出ました。

IT大手の楽天が「楽天市場」で予定していた、3980円以上の買い物をした人に一律で送料を無料とする制度について、公正取引委員会は去年2月、出店者に対する不当な要求にあたる疑いがあるとして緊急停止命令を裁判所に申し立てました。

楽天がこの制度を店が選べる形に見直すと発表したことを受けて公正取引委員会は翌月、裁判所への申し立てを取り下げ、その後の状況を調査してきました。

その結果について公正取引委員会は6日記者会見し、楽天の営業担当者は、制度を見直すと発表したあとも、参加しない店に対しサイトの上位に表示せず、次の契約更新時に退店となると説明していたほか、今後、参加する店には売り上げを大きく伸ばすためのキャンペーンを行うなどと伝えていたということです。

送料無料の制度に参加しているのは出店する5万5000店のうち9割以上に上り、中には送料をみずから負担する店があったほか、送料を価格に転嫁し客が離れた店もあったということです。

このため公正取引委員会は、独占禁止法違反の優越的な地位を利用した不公正な取り引きに当たる可能性があるという判断を示しました。

これに対し、楽天はこうした行為を取りやめ、違反した従業員への処分の規程を整えるなど、出店者の意思を尊重するとした改善措置を6日までに申し出たということです。

公正取引委員会は、違法な可能性がある状況が解消されると判断し、調査を終了するとしています。

公取委「背景に送料無料全店舗参加目指す会社の方針」

6日の記者会見で、公正取引委員会の山口正行第二審査長は「楽天の営業担当者が行った問題事例の背景には、一律の導入をやめたあとも送料無料への全店舗参加を目指す会社の方針があった。会社の直接的な指示はなくても、担当者は目標の実現のためにどういう方策をとるか知恵を絞らざるをえなかったと思う。今回、制度に参加しない店に不利な取り扱いをしないことを会社の方針として周知していくことで、出店者に一定の安心感を与える」と述べました。

そのうえで、インターネット上で取り引きの場を提供している巨大IT企業などの「デジタルプラットフォーマー」への調査について「時代環境を踏まえて問題が見られれば積極的に調査する」と述べました。

楽天グループ「指摘を真摯に受け止め改善に努める」

公正取引委員会から独占禁止法違反の可能性があると指摘されたことについて、「楽天市場」を運営する楽天グループは「指摘を真摯(しんし)に受け止めるとともに、出店者や利用者の声にも耳を傾け、今後も改善に努めてまいります」とコメントしています。

また、去年3月に会社として制度を見直すと発表したあとも、営業担当者が制度に参加しない出店者に対して「サイトの上位に表示しない」どと伝えていたと指摘されたことについては「出店者とのコミュニケーションの中で結果として誤解を与えてしまう場合があったと認識している。丁寧な説明を心がけます」としています。

会社では現在、都道府県ごとに出店者と意見交換する場を設けていますが、公正取引委員会の指摘を受け、今後は、営業部門から独立し第三者的な立場で対応する「苦情受付窓口」でも、出店者からの相談に応じるとしています。

一方、送料無料の制度そのものについては、先月末の時点で92%の出店者が参加し、送料込みの価格が分かることで利用者の満足度向上につながっているとして、今後も出店者の理解を得ながら続ける意向を示しています。

専門家「事業者の理解が重要」

巨大IT企業の規制に詳しい安平武彦弁護士は「消費者にとってみれば送料がかからないのはメリットとなるが、その負担を出店者に強制するということになれば、自由な選択の余地がない中小事業者が不利益を被ることになる」と指摘しました。

そのうえで「今回の問題は、事業者の側が一方的に不利益を押しつけられたと捉えてトラブルになったという側面がある。運営者としては消費者に対していい顔をするだけでなく、事業者に対しても運営理念や戦略について丁寧に説明し、理解を得ていくことが重要だ」と話しています。