予算編成に向け財政制度等審議会が提言“財政健全化の必要性”

来年度予算案の編成に向けて、財務大臣の諮問機関の「財政制度等審議会」が提言を正式に公表しました。新型コロナ対策として、合わせて70兆円を超す規模の補正予算を組んだ昨年度の状況を「戦後最大の例外」と位置づけたうえで、財政健全化の必要性を強く訴える内容となっています。

国の予算の在り方などを審議する「財政制度等審議会」は3日、来年度予算案の編成に向けた提言を鈴木財務大臣に提出し、正式に公表しました。

提言では、新型コロナウイルス対策として、3度にわたる補正予算を組み、その総額が一般会計で73兆円に膨らんだ昨年度の状況について「国民の生活や事業を守るために大きな役割を果たした」とする一方、経済と財政の両面で「戦後最大の例外」と位置づけました。

そのうえで「経済、財政の正常化に取り組み、『例外』から脱却しなければならない」と指摘するとともに、自然災害や金利の上昇などの危機に対応できる余力を確保しておくことが不可欠だとして、財政健全化の必要性を強く訴える内容となっています。

そして、政策に充てる経費を国債などに頼らず、税収などでどれだけ賄えるかを示す「基礎的財政収支」を、国と地方を合わせて2025年度に黒字化するという政府の目標については「凍結するといった方針変更を行うことなく、着実に改革を進めるべきだ」としました。

政府は、この提言も踏まえ、来年度予算案の編成作業を本格化させ、今月下旬に決定する方針です。

榊原会長「足もとの財政 厳しさ増しているのは事実」

来年度予算案の編成に向けた提言について、財政制度等審議会の榊原定征会長は、記者会見で「新型コロナの対応は必要だが、足もとの財政が一層厳しさを増していることは事実だ。金利上昇などのリスクを現実のものとして考えると、審議会の立場で財政再建化を叫び続けることは極めて重要だ」と述べました。