オミクロン株を判別 都独自のPCR検査で監視徹底へ

新しい変異ウイルス、オミクロン株の感染が国内でも確認されたことを受けて、東京都は緊急対応策をまとめ、都独自に確立した、オミクロン株を判別するPCR検査を行うなどして、監視を徹底するとしています。

東京都は3日午後、危機管理対策会議を開き、新しい変異ウイルス、オミクロン株の感染が国内でも確認されたことを受けて、都としての緊急対応策をまとめました。

それによりますと、オミクロン株の特徴である主要な変異があるかないかを判別する、都独自のPCR検査の手法を確立し、3日から都の健康安全研究センターで検査を始めるとしています。

この検査では一日かからずに結果が判明するということで、遺伝子解析も並行して行うことで市中での感染が広がらないか監視を徹底していくとしています。

また会議では、これまで国内で感染が確認された2人の濃厚接触者が都内に85人いて、このうち61人が2日時点で宿泊療養施設に入ったことが報告されました。

都は、宿泊療養施設に入らず自宅などで待機している濃厚接触者も含めて、全員2日に1回、PCR検査を行い、健康観察を続けるということです。

また、新たな感染者の濃厚接触者が出た場合も、宿泊療養施設に入るよう要請する方針で、施設を今の2倍程度のおよそ3400室に増やすとしています。

さらに、オミクロン株に関する不安に対応するため、3日から都民向けの相談窓口を設置します。
電話番号は0570-550-571で、毎日、午前9時から午後10時まで受け付けます。

「スパイクたんぱく質」遺伝子の変異を調べる

東京都が独自に確立した、オミクロン株を判別するPCR検査は、ウイルスの表面の突起にあたる「スパイクたんぱく質」の遺伝子に、オミクロン株特有の変異があるかないかを調べる手法です。

新型コロナウイルスの検査などを行う都の研究機関「東京都健康安全研究センター」によりますと、オミクロン株は「スパイクたんぱく質」におよそ30か所の変異があります。

今回、独自に確立した検査方法では、このうち「E484A」など主要な変異があるかどうかを調べ、オミクロン株なのかを判別するということです。

都は、都内で新型コロナの陽性となった検体のうち、なるべく多くの検体でこのPCR検査を行いたいということです。

専門家「急拡大みられる場合 行動制限強化など迅速に」

新型コロナウイルス対策で東京都に提言や助言を行う「専門家ボード」で座長を務める、東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は、3日の会議の中で、今後、感染の急拡大の兆候がみられる場合には、医療提供体制の強化や行動制限の強化などに迅速に取り組む必要があるという考えを示しました。

この中で賀来特任教授は「オミクロン株はワクチン効果が減弱する可能性が指摘されているが、効果が全くなくなるというわけではない。現時点では、ワクチンによる重症化予防などの効果は見込めると考えられている」と述べました。

また「オミクロン株であっても、基本的な感染予防対策を徹底しワクチン接種や早期の抗体薬投与を着実に進め、今後出てくる経口薬を活用していくことが大変重要だ」と指摘しました。

そして、都に対しては「感染急拡大の兆候がみられる場合には、医療提供体制の強化や行動制限の強化など、迅速かつ機動的に取り組むことが望まれる。オミクロン株の登場で、国内や東京都でも緊張が高まっているが、今こそ落ち着いて、慌てることなく、やるべきことをしっかりと行い、総合的な対応をとっていくことが重要だ」と述べました。