中村吉右衛門さんが公演復活に協力 香川 琴平町で死去悼む声

歌舞伎俳優の中村吉右衛門さんが、こだわりを持って公演を続けた、現存最古の芝居小屋、通称「金丸座」のある香川県琴平町では、地元の人たちがかけがえのない人の死を悼んでいます。

重要文化財にも指定されている香川県琴平町の「旧金毘羅大芝居」、通称「金丸座」は、現存する芝居小屋としては全国で最も古く、30年余り前、吉右衛門さんたちの協力で、ここでの公演が復活しました。

公演の立ち上げから協力してきた琴平グランドホテルの近兼孝休会長は、吉右衛門さんの死去を受けて、当時を振り返りました。

この中で「私は『重要文化財で歌舞伎を演じるのは難しいのではないか』と言ったのだが、吉右衛門さんたちは『そんなことはない。まさしく、ここは歌舞伎の原点であり、ぜひこの芝居小屋で歌舞伎をやりたい』と顔を紅潮させながら熱弁していた」と話しました。

そのうえで「きのう亡くなったことを聞き、あまり寝ていない。あの人がいなかったら、金丸座での公演はなかった」とかけがえのない人の死を悼んでいました。

吉右衛門さんは、金丸座について「役者にとっては想像力を刺激される場所だ」と語るなど強い思い入れを持っていたということで、地元からは、新型コロナウイルスの影響が収束し、現在行われている改修工事が終了したあとには舞台への復帰を期待する声も上がっていたということです。

地元の人「とても残念」

琴平町の金刀比羅宮の参道で土産物店を営む70代の女性は「歌舞伎だけでなくテレビでも活躍していたので、亡くなったと聞いてびっくりしました。琴平にはよく来てもらっていたので残念です」と話していました。

また、近くでうどん店を営む70代の女性は「琴平での歌舞伎を立ち上げてくれた人なので、とても残念です。ご冥福をお祈りします」と話していました。

松野官房長官「文化芸術の発展に多大な貢献」

松野官房長官は2日午後の記者会見で「ご冥福を心からお祈りする。現代を代表する歌舞伎役者として数多くの作品、さまざまな役柄で舞台に立たれテレビドラマでも『武蔵坊弁慶』を演じられるなど幅広い分野で活躍された。わが国の文化芸術の発展に多大な貢献をされてきた中村吉右衛門さんのご逝去に際し、心から哀悼の意を表したい」と述べました。