国際線新規予約停止要請 海外の日本人は帰国断念する人も

日本に到着する国際線で新たな予約を停止するよう国土交通省が航空会社に
要請したことを受けて、海外で暮らす日本人の中には年末の一時帰国を断念せざるを得なくなった人も多くいます。

1年9か月ぶりの帰国を中止

1年9か月ぶりの帰国を中止したタイ在住の男性からは、先行きが見えないことに不安の声が聞かれました。

タイの首都バンコクにあるトマトの生産や販売を行う会社の代表を務める迫田昌さん(34)は、日本とタイの新規感染者が減少したことなどから今月末、1年9か月ぶりに帰国を予定していましたが、予約が取れなくなり、帰国を中止しました。

迫田さんは新型コロナの感染拡大前、数か月に1度は日本に帰国して両親と会っていましたが、感染の拡大後は渡航を控えていて、去年4月に祖母が亡くなった際にも葬儀に出席できなかったということで、今回、日本で墓参りをしたり、久しぶりに家族との時間を過ごしたりすることを心待ちにしていたということです。
迫田さんは今回の対応について「新しい変異ウイルスを国内に入れないという点で正しい措置で、日本の安全を思うとしかたがないことだと思います」と話しています。

そのうえで「新型コロナのワクチン接種がこれだけ進んできても状況が改善する先行きが見えないことに不安を覚えます。両親も若くないので頻繁に会っておきたいが『いつ帰れるのだろう』というのが率直な思いです。なるべく早くこの状況が改善して、従来通りの往来ができるようになることを心から祈っています」と話していました。

日本に進学した娘に会えず

タイの首都バンコクの山田祥子さん(49)は去年、日本の大学に進学した長女とは2年近く離れて暮らしていますが、年末の一時帰国を断念せざるを得なくなりました。

山田さんは「家族に会うための帰国だったので、すごく残念でした。娘もがっかりして泣きそうになっていました。ことしもオンライン帰省をするしかないです」と心境を語りました。

日本政府の対応については「日本国内での感染が少なくなっているので、慎重に対応したいという思いは理解できます。自分だけがこの状況になったわけではないので、もう少し我慢しようと言い聞かせています」と話していました。

政府「予約キャンセルを求めているものではない」

政府は「国土交通省において、12月の航空便の予約状況を踏まえ、取り急ぎ航空会社に対し、12月に日本に到着する航空便について新規予約の受付を停止するよう要請した。今回の要請はすでに入っている予約のキャンセルまでを求めているものではない」としています。

そのうえで「今般、取り急ぎの措置として、新規予約の受付を停止する要請を行ったところであるが、今後の取り扱いについては、日本人の帰国需要に対応できるよう、国土交通省において検討を行っている」としています。