専門家 “オミクロン株 検疫すり抜けも想定して対応を”

海外の感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授は、新型コロナウイルスのオミクロン株に対応した入国制限について、「日本は外国人の入国を原則、すべて停止していて、これは世界でもほぼ例のない厳しい対応だ」とした一方、検疫をすり抜けて国内に入り込む可能性はあるとしています。

具体的には日本人の場合、出国時の72時間以内の検査での陰性証明と、日本への入国時の抗原検査での陰性確認で入国できるため、入国時の検査で陰性でも、その後、発症する人がいるおそれがあるほか、日本への入国時に、3日から10日の停留が求められている国以外でも、すでに感染が広がっている可能性があり、日本国内に持ち込まれる可能性があるとしています。

さらに、濱田特任教授は「オミクロン株が、アフリカ南部で広がり始めたのは、11月初めごろから中旬ではないかと見られている。水際対策を強化する前に、感染者が日本国内に渡航していた可能性も考えておかないといけない。厚生労働省も、自治体になるべくゲノム解析を行うよう求めていて、国内の感染状況を確認することが大切だ。水際対策の目的は、オミクロン株の入り込みをゼロに抑えることではなく、入り込むまでの時間稼ぎであり、その間にウイルスの特徴を解明することや、必要であれば新たなワクチンを確保するといった対応を取ることが重要だ」と指摘しました。

一方、12月1日に始まったワクチンの3回目の接種について、「オミクロン株にはワクチンが効きにくいのではないかという指摘もあるようだが、感染や発症の予防効果に影響はあっても、重症化予防効果には大きな影響は出ないのではないかと思われる。デルタ株が再び流行する可能性もあり、3回目の接種は粛々と進めるべきだ」と述べました。