3回目接種 自治体から接種間隔6か月に前倒し実施の要望も
新型コロナウイルスの3回目のワクチン接種が12月1日から始まりましたが、オミクロン株の感染拡大も懸念されるなどとして、自治体からは2回目の接種からの間隔を6か月に前倒しして実施したいという要望も出ています。
3回目の接種について、厚生労働省は2回目からの接種間隔を原則8か月以上としていて、医療機関や高齢者施設でクラスターが発生した場合などには厚生労働省に事前に相談したうえで、施設の利用者や職員に対しては6か月に前倒しできるとしています。
これに対し、これまでに大阪府や茨城県など複数の自治体がクラスターが発生しなくても医療従事者や高齢者施設などに対しては接種の間隔を短縮して実施したいと国に要望しています。
このうち東京 世田谷区は、高齢者施設や介護事業所が区内におよそ1000か所あり、巡回して接種を終えるまでに時間がかかることや、オミクロン株の感染拡大も懸念されるなどとして、2回目から6か月以上たった利用者や職員から接種を始められるよう国に要望しています。
世田谷区の保坂展人区長は、「クラスターを発生させないために高齢者施設のほうからもなるべく早めにやってほしいという要望も受けている。1週間前までは感染は非常に落ち着いていたが状況はどんどん変わってきている。オミクロン株は感染力が大変強いと言われているし、国は早く接種を進めたいという自治体を後押しするような柔軟な対応をしてほしい」と話しています。
地方自治に詳しい中央大学法学部の礒崎初仁教授は、「今回の接種業務は国から自治体への法定受託事務なので、国が一定程度指示することは可能だ。ただ、国がワクチンを供給しないと自治体は事実上指示に従うしかなくなる。ワクチン接種は広域かつ緊急の対応が求められていることから、本来は地域の実情に基づいて接種を進める必要があり、自治体の自主性や自立性を尊重すべきだ」と指摘しています。