帰還困難区域の一部 立ち入り規制が大幅に緩和 福島 大熊町

原発事故のあと立ち入りが厳しく制限されてきた福島県大熊町の帰還困難区域の一部について、町と国は来年春の避難指示解除を目指しています。これに向け、12月3日から住民が自宅に寝泊まりしながら生活再建に向けた準備を進める「準備宿泊」が始まるのを前に30日、立ち入り規制が大幅に緩和されました。

東京電力福島第一原子力発電所が立地している大熊町では、今も町の面積の6割余りに避難指示が出され、帰還困難区域に指定されています。

町と国は、このうち18%余りにあたる「特定復興再生拠点区域」で先行して除染やインフラ整備を行い、来年春の避難指示の解除を目指しています。

この地域ではこれまでに4分の3近くの立ち入り規制が緩和されていましたが、30日午前9時には220か所余りのバリケードが開けられ、JR常磐線大野駅の周辺やかつての町の中心地域など、残り4分の1余りの規制が緩和されました。

避難指示は続いているものの、これで「特定復興再生拠点区域」のすべてで、立ち入りが自由にできるようになりました。

12月3日からは帰還に向けた「準備宿泊」が始まる予定で、国によりますと、29日までに12世帯23人が宿泊の届け出を済ませたということです。
大熊町の吉田淳町長は「時間はかかったが、ようやくここまで来た。準備宿泊は避難指示の解除を目指した取り組みなので、住民の皆さんも心配はあると思うが、一つ一つ解決して進めていきたい」と話していました。

防犯指導隊などが地区を見回り

立ち入り規制の大幅緩和を受けて、福島県大熊町では住民の防犯指導隊などが地区の見回りを始めました。

30日は、JR大野駅の駐車場で地元の消防団や住民でつくる防犯指導隊のメンバーなどおよそ40人が集まって出発式が開かれ、吉田淳町長が「24時間誰でも立ち入りが可能になることから、事故や犯罪も増えることが懸念される。住民の安全安心、そして町の復興のためご協力をお願いしたい」とあいさつしました。

このあと、すでに避難指示が解除された町内の別の地区で暮らしながらパトロール活動を続けている防犯指導隊の松永秀篤さんが活動開始を宣言し、バリケードが開けられると早速見回りを始めました。

松永さんは「この日を待ちわびていました。自由に通行できる地区が広がれば、多くの町民が戻ってくると期待しています」と話していました。

規制緩和区域の住民は

立ち入り規制が緩和されたJR大野駅前の商店街に住んでいた渡辺英政さん(57)は、午前9時にバリケードが開放されると同時に自宅があった場所を訪れました。

商店街にあった個人の土地や建物は、大熊町が住宅地や商業地などを新たに整備するために買い上げ、建物の解体を進めていて、渡辺さんの自宅もことしの春に解体されたということです。

渡辺さんは、来年春に避難指示が解除されれば町内の別の場所に新しい家を建てたいと考えていて、さら地になった自宅の跡地や商店街の今の様子を写真に収めていました。

渡辺さんは「家があった場所はもう自分の土地ではないのですが、自由に来られるようになってうれしいです。ようやくスタートラインに立てたような思いです」と話していました。