がん診断数 7割の医療機関で前年比減 コロナで受診控えか

全国860余りのがん診療を行う医療機関から集められた、去年1年間にがんと診断された患者の大規模なデータを国立がん研究センターが分析したところ、7割の医療機関でがんの診断数が前の年より減少していたことが分かりました。センターでは、新型コロナウイルスの影響による受診機会の減少などが背景にあるとみて、積極的に検診を受けるよう呼びかけています。

国立がん研究センターは、全国のがん診療を行う主な医療機関863施設で去年1年間にがんと診断された延べ104万379人の患者のデータを分析しました。

その結果、全体のおよそ69%に当たる594の施設でおととしに比べてがんの診断数が減少していて、減少幅は平均で4.6%だったということです。

また、がんの種類別の診断数をおととしまでの4年間の平均と比較したところ、
▽胃がんではおよそ14%、
▽大腸がんではおよそ4%、減少していました。

このうち胃がんについて、がんが見つかったきっかけを調べると、いずれもおととしまでの4年間の平均と比べて、
▽自治体のがん検診など検診で見つかったケースは24.3%の減少、
▽検診以外で受診するなどして見つかったケースは11.0%の減少で、
いずれのケースも去年5月ごろが最も少なくなっていました。

センターでは、去年の春ごろに新型コロナの影響で、検診センターが一時的に休業したり、受診控えが起きたりしたことが背景にあるとみられるとしています。

国立がん研究センターがん対策研究所の若尾文彦事業統括は「がん診断数の減少についてはいろいろな調査が行われているが、大規模なデータをもとにより全体像に近い形で把握できたことは重要だ。検診を積極的に受け、気になる症状があれば病院を受診してほしい」と話しています。