所得税の追徴税額732億円 過去最少に コロナで実地調査件数減

ことし6月までの1年間に行われた国税局の税務調査で所得税の申告漏れなどがおよそ28万件見つかり、追徴税額は732億円となったことが国税庁のまとめで分かりました。
新型コロナウイルスの影響で実地調査の件数が減り、追徴税額はこれまでで最も少なくなりました。

25日発表された国税庁のまとめによりますと、全国の国税局はことし6月までの1年間、所得税に関する税務調査を、書類の提出を求めた簡易なものも含めて合わせて50万件余り行いました。

調査で見つかった申告漏れなどは27万9295件、5577億円で、追徴税額は732億円となりました。

追徴税額は、前の年に比べて400億円、率にして35.3%減り、現在の方法で統計を取り始めた平成21年以降で最も少なく、初めて1000億円を下回りました。

国税庁は、新型コロナウイルスの影響で現場に出向いて行う実地調査の件数が前の年に比べ60.1%減ったことが主な原因だとしています。

一方、国税当局が力を入れている、民泊やカーシェアリング、暗号資産の取り引きなどのインターネットでさまざまなサービスを共有する「シェアリングエコノミー」に関する調査では、1件当たりの追徴税額が前の年に比べて41.5%増え、494万円となりました。

国税庁は今後こうした分野などの調査を強化する方針です。