韓国 新型コロナ 23日の感染確認は初の4000人超 過去最多に

今月から新型コロナウイルスの規制の緩和に踏み切った韓国で23日、一日の感染者が初めて4000人を超え、過去最多となりました。韓国の首相が規制を再び強化する可能性に言及するなど、危機感を強めています。

今月から規制が緩和され人の動きが活発化

韓国政府によりますと、23日、一日に新たに確認された新型コロナウイルスの感染者は4115人に上り、これまでで最も多かった今月17日より800人以上増えたほか、重症者も586人で過去最多となりました。

感染者が集中しているソウルをはじめとする首都圏では、集中治療室の病床の使用率がすでに80%を超えていて、政府は、首都圏の危険度について5段階で最高レベルの「非常に高い」としています。

韓国では、これまでにワクチンの接種を終えた人の割合が79.1%となっていて、今月から感染防止のための規制が緩和され、人の動きが活発化しています。

こうした中で、早い段階で接種を終えた高齢者や、まだ接種が進んでいない子どもたちの間で感染者が増えていることなどが、感染拡大の背景として指摘されています。

キム首相 “首都圏は切迫した状況”

キム・ブギョム(金富謙)首相は、24日朝「首都圏では、いつでも非常計画の発動を検討しなければならない切迫した状況だ」として、規制を再び強化する可能性に言及するなど、危機感を強めています。

高齢者も 10代や10代未満も

韓国政府によりますと、23日確認された新規感染者4115人のうち、
▼60代が873人、
▼70代が409人、
▼80代以上が199人と、
高齢者が全体の35%余りを占めています。

また、重症者の増加により、集中治療室の病床の使用率は71%に上り、ソウル首都圏では83.7%に達しています。

キム・ブギョム首相は、過去2週間で感染が確認された60代以上のうち、80%がワクチンの接種を済ませた人たちだと明らかにし「接種の効果が急激に低下している」と述べ、いわゆる「ブレイクスルー感染」への危機感をあらわにしました。

一方、23日は、
▼10代で390人、
▼10歳未満で299人の感染が新たに確認され、
接種率が他の年代と比べて低い若者の間でも感染の拡大が顕著になっています。

韓国の防疫当局の高官は22日の記者会見で、過去2週間に確認された12歳から17歳の感染者の98.7%がワクチンの接種を受けていなかったと指摘しました。

韓国政府の規制緩和の計画は

韓国政府は先月、新型コロナウイルスワクチンの接種が進んでいることから、日常生活の回復を目指すとして、感染防止のための規制を3段階で緩和していく計画を取りまとめました。

第1段階として、今月から飲食店の営業時間の制限をなくしたほか、カラオケ店や入浴施設、屋内スポーツ施設なども、いわゆる「ワクチンパスポート」で接種が完了したことを証明できる人などの利用に限り、営業時間の制限を解除しました。

そして緩和から5週目となる来週以降、2週間にわたって状況を見極め、さらなる緩和が可能と判断されれば、第2段階として来月13日からコンサートや各種イベント、結婚式などで人数の制限が解除される計画でした。

一方で、重症者の急増により医療がひっ迫する場合は緩和措置を一時中断するとしていました。

ソウル PCR検査を無料で受けられる会場では

ソウル市内にはPCR検査を無料で受けられる会場が各地に設置されています。

このうち、金融街のヨイド(汝矣島)にある検査会場では、子どもから中高年までさまざまな世代の市民が検査を受けていました。

40代の女性は「ワクチンを打っても『ブレイクスルー感染』があるしとても不安です」と話していました。

この会場の職員によりますと、24日に検査に訪れた人は、午後3時時点でおよそ1900人に上り、23日より500人ほど多くなっているということです。

韓国では今週から小中学校や高校で対面授業が全面的に再開されたばかりですが、検査会場では親子連れの姿も多く見られました。

息子が通う小学校で感染が確認されたため検査に連れてきたという女性は「登校が再開してから3日しかたっていないのに、またあしたからオンライン授業に戻すというので、とてももどかしいです。早く収束してほしいです」と話していました。

ワクチン接種の現状は

韓国では、ファイザー、アストラゼネカ、モデルナ、ジョンソン・エンド・ジョンソンの、合わせて4種類のワクチンの接種が行われてきました。

韓国政府が24日午前0時現在でまとめたところによりますと、ワクチンの接種率は79.1%となっています。

18歳以上で接種が完了した人は91.1%に上るということです。

一方、いわゆる「ブレイクスルー感染」とみられる事例が徐々に増えていて、
▼4月に2人、
▼5月に7人だったのが、
▼9月は8898人、
▼10月は1万6095人に上り、
▼11月は、16日時点で6565人となっています。
また、「ブレイクスルー感染」の発生率をワクチンの種類別に見ますと、
▼ジョンソン・エンド・ジョンソンが0.350%、
▼アストラゼネカが0.171%、
▼ファイザーが0.064%、
▼モデルナが0.008%となっています。