東京五輪 観客制限が「選手や競技に影響」8割余 NHKアンケート

東京オリンピックを終えた競技団体を対象にNHKがアンケート調査をした結果、新型コロナウイルスの感染拡大で観客が制限されたことが選手や競技に影響したという回答が80%余りに上りました。

浮かび上がった課題についても、コロナ禍での大会の在り方や観客の観戦方法の見直しを挙げる競技団体が相次ぎ、コロナ禍のオリンピックを経てスポーツ界は安全な大会の実施と新たな観戦方法の確立などへの対応が迫られています。

東京オリンピックの閉幕後、NHKは国内の33競技の団体を対象にアンケート調査を行い、回答がなかった1つの団体を除き、部門が分かれる競技を加えた合わせて36の強化担当者などから回答を得ました。

この中で、無観客などの観客制限が選手や競技に影響したかを尋ねたところ、「影響があった」が36%、「どちらかといえば影響があった」が50%で合わせて86%に上りました。

具体的な影響を尋ねたところ、「声援による自国開催のホームアドバンテージがなくなった」が55%と最も多く、「競技の普及やアピールの機会の喪失」も24%に上りました。

東京オリンピックが新型コロナの感染拡大によって、一部の会場を除いて無観客で行われたことで、期待していた自国開催のメリットが得られなかったという実態が明らかになりました。

さらに、浮かび上がった課題のうち、最も対策が急がれるものを尋ねたところ「コロナ禍での大会の在り方や観客の観戦方法の見直し」を挙げる団体が最も多く49%に上りました。

コロナ禍で初めてのオリンピックとなった東京大会を経て、スポーツ界は安全な大会の実施と新たな観戦方法の確立などへの対応が迫られています。

専門家「コロナ禍での新しいチャレンジ 今後も継続を」

東京大会で観客が制限されたことの影響について、スポーツマネージメントが専門で早稲田大学スポーツ科学学術院の松岡宏高教授は「オリンピックを見に行く予定だった子どもたちがその機会を失ったことは、子どもたちのその後のスポーツとの関わりに大きな影響が出るので残念な部分だった」と指摘しました。

新型コロナの影響で、スポーツ大会の在り方や観戦方法が変わりつつあることについては「スポーツは、するにしても見るにしても『その場』で行うことが原点で、そこに大きな価値があるのはこれからも変わらない。ただ、その土台の上に、デジタルの活用などいろいろなツールをスポーツ界が持てるようになったことは、プラス材料だ」と話しています。

そのうえで「特に競技人口や観客が少ない競技団体は、これまでいろいろなことに取り組むエネルギーがなかったと思うが、コロナ禍によってやらざるをえない状況になり、新しいチャレンジをした。今後、平時に戻ったとしてもそれを継続して生かすことで、スポーツファンの拡大につながることを期待したい」と話していました。