円相場1ドル=115円台に値下がり 4年8か月ぶり円安ドル高水準

23日のアジアの外国為替市場では円相場が一時、1ドル=115円台まで値下がりしました。アメリカのFRB=連邦準備制度理事会のパウエル議長の再任が発表されたことで今後の金融政策に対する不透明感が和らいだためで、4年8か月ぶりの円安ドル高水準です。

23日のアジアの外国為替市場では午前中からドルを買って円を売る動きが強まり、円相場は一時、1ドル=115円台まで値下がりして2017年3月以来、4年8か月ぶりの円安ドル高水準をつけました。

これはアメリカのバイデン大統領が来年2月に任期が切れるFRBのパウエル議長を再任すると発表したことで、今後の金融政策に対する不透明感が和らいだためです。

議長の再任によって市場のこれまでの見込みどおりアメリカが今後、利上げに向かうという見方が広がり、ドルを買う動きにつながりました。

市場関係者は「アメリカでインフレが続き利上げの時期が予想よりも早まるという観測もあってドルが買われている」と話しています。

円安は日本経済にとって輸出などの面でプラスの効果が期待できますが、一方で高止まりしている原油などの輸入価格を押し上げることにもつながるため影響を慎重に見ていく必要がありそうです。

ロンドン市場は1ドル=114円台後半

一報、23日のロンドン外国為替市場ではいくぶん円が買い戻され、1ドル=114円台後半を中心に推移しています。

市場関係者は「アメリカのFRB=連邦準備制度理事会のパウエル議長の再任が発表されたことでアジアの市場で円安ドル高が進んだが、ロンドンの取り引き時間では値下がりした円を買い戻す動きが出ている」と話しています。

背景には日米間の「金利差の拡大」

円相場はことしはじめに一時、1ドル=102円台後半となりましたが、その後、値下がり傾向が続きこの2か月だけでおよそ5円、円安が進みました。

背景には日本とアメリカの間の「金利差の拡大」があります。

アメリカでは景気の回復を受けて中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会が今月3日に、新型コロナ対応として続けてきた量的緩和の規模を段階的に縮小する政策転換を決めました。

インフレ=物価上昇の懸念も出ていることもあり、市場では利上げも前倒しされるのではないかとの見方から、ことし9月下旬に1.3%台だったアメリカの長期金利は1.6%に上昇しています。

一方、日本の長期金利は日銀の金融政策によってゼロ%程度に抑えられています。

先行きについても新型コロナで打撃を受けた経済を下支えするため、日銀は今の大規模な金融緩和を維持する方針を示し、超低金利の状況が続くと見込まれています。

このため日米の金利差はさらに広がっていくとの見方から、円を売ってより利回りが見込めるドルを買う動きにつながっています。

また国際的な原油価格が高くなっていることで、日本企業が取り引きするためのドルの需要が増えたことも円安を加速させる要因となっています。

メリット・デメリットも

円安が進むと輸出を主力としている企業には採算が好転したり、業績が押し上げられるメリットがあります。

例えば自動車メーカーの場合、想定しているレートよりも年間を通じて1円の円安になると本業のもうけを示す営業利益が数億円から数百億円増える計算になるということです。
一方、デメリットも指摘されています。

円安になると通常、ドルで取り引きしている石油やそのほかの原材料などを輸入する際のコストがかさむことになります。現在は国際的な原油価格やLNG=液化天然ガスの価格も高値となっています。

こうした中で進む今の円安は
▽輸入コストの上昇による企業収益の圧迫や、
▽ガソリンや灯油などの値上がりで家計の圧迫につながるとして
コロナ禍からの経済回復が期待される中で景気の足を引っ張りかねないという懸念も出ています。