コロナ禍で注目の「つながる力」商店街プロレスの魅力

コロナ禍で注目の「つながる力」商店街プロレスの魅力
リング上で激しく闘う選手たちと観客の熱い声援、ここはスタジアムではなく普通の商店街です。
全国的にもユニークな横浜の「商店街プロレス」、コロナ禍で疲弊した街を活性化させるアイデアが各地で練られるなかで、プロレスが持つ「ファンとのエンゲージメント=つながりを強める力」が、あらためて注目されています。
(横浜放送局 地域貢献・情報発信プロジェクト 高見彰良)

商店街で突然「大乱闘」が!

今月21日、横浜市中区のJR石川町駅前に設けられたリングで開催された「商店街プロレス in 石川町」。

リングを縦横にかける選手たちが繰り出す派手な技とパフォーマンスに、プロレスファンや子どもたちが熱い声援を送っていました。
横浜ではこうした路上の特設リングで行う「商店街プロレス」が、市内33か所の商店街で10年前から開催されています。
運営は各商店街が主体となっており観戦は無料で、これまでに約120回行われています。

きっかけは映画でした

横浜市商店街総連合会の加藤剛さんによると、商店街プロレスのきっかけは2004年に公開された映画「お父さんのバックドロップ」でした。

映画の舞台になった横浜の六角橋商店街で、イベントとして街中にリングを設けてプロレスを実施していたところ、市内に広げられないかと加藤さんが各商店街に声をかけ、いくつかの商店街が参加したのが始まりだそうです。
大型店やネットショップにおされている商店街では、以前からイベントとして福引やセールなどはあるものの、お客さんたちの滞在時間はさほど長くありません。
加藤剛さん
プロレスをやれば2時間くらいお客さんに足を止めてもらえる。小腹がすいたり、日用品を買い足したりする機会が増えるかもしれないと思いました。
加藤さんはもともと小学生からのプロレスファンですが、最近のプロレス会場で目立つのは加藤さんのような熱心なファンの大人たち。

でも商店街プロレスでは買い物客や親子連れも足を止めて見てくれるので、プロレスのファン層の広がりにもつながればと、加藤さんはファンとして期待しています。

”過激な”レスラーが夢みたことは

その「プロレス側」の中心人物の1人が、過激なデスマッチを得意とする団体、大日本プロレスの沼澤邪鬼選手です。
過激なデスマッチとは、例えばリングに画鋲を敷き詰めたりとか、蛍光灯で殴り合ったりとか。
しかしプロレスの試合はテレビのゴールデンタイムではしだいに放送されなくなり、団体ではコアなファンに向けたネット配信やイベントなどを続けていました。
「活気ある商店街の風景を取り戻したい」と相談されて10年前に初めて商店街プロレスを開催したとき、沼澤さんは人が集まるのか不安だったといいます。
でもいつも通りの化粧でリングに立つと、周りにはこれまで見たことのないほど多くの人が集まり、そして沼澤さんたちがふだん接することが少ない、子どもたちの姿がありました。
本物のプロレスをこわがりながらも、ダメージを負う選手を一生懸命応援する子どもたちが、2時間のイベントを楽しんでくれている姿を見て、感じるものがありました。
沼澤邪鬼選手
自分たちが「求められる存在」であることがうれしかった。10年間続けていく中で、いつしか自分たちが、この商店街プロレスで集まる人たちの「声援」や「ふれあい」の時間を求めているようになっていたと思います。

■コロナの不安から慎重に開催

子どもたちに特に人気だった商店街プロレスもコロナの感染が拡大した去年は中止になり、去年の12月26日の試合は、無観客のオンラインで開催しました。

今年も開催できるかギリギリまで分からないまま準備を進めていましたが、緊急事態宣言が解除されたことで、細心の注意を払って運営を再開しました。
・リングへの声援(コール)は禁止。
・観客どうしの大声の会話は禁止。
・選手へのタッチ禁止。
・選手との写真撮影禁止。
商店街プロレスの魅力はかなり奪われてしまうものの、「開催することによって商店街にとっても、観客にとってもプラスになればと思いました」(加藤剛さん)
コロナの感染状況の先行きはわかりませんが、商店街をコロナ前の活気に戻したい、そのためにはプロレスが持つ「場を盛り上げる力」「観客とステージをつなげる力」が必要だと関係者は期待しています。
邪鬼選手も商店街プロレスの今後について熱く語ってくれました。
沼澤邪鬼選手
6m四方の空間があれば俺たちはどこでもできる。全国に広げて、本物のプロレスを子どもたちに見てもらいたいです。
横浜の「商店街プロレス」の活況については、今月23日(火)夜9時から放送予定の「ニュースウオッチ9祝日特別版」の中のコーナー、「推しプレ!」でもお伝えします。