「関西スーパー」統合手続きの差し止め命じる決定 神戸地裁

「関西スーパーマーケット」の臨時の株主総会で承認された経営統合案をめぐり、首都圏のスーパー「オーケー」が、賛否の集計に問題があったとして統合手続きの差し止めを求めた仮処分の申し立てについて、神戸地方裁判所は、手続きの差し止めを命じる決定をしました。
関西スーパーは、これを不服として、裁判所に異議を申し立てる方針を明らかにしました。

先月末の関西スーパーの臨時の株主総会では、阪急阪神百貨店などの運営会社「エイチ・ツー・オー リテイリング」との経営統合案が承認に必要な、出席した株主の3分の2をかろうじて上回る賛成で可決されました。

これに対し、関西スーパーを買収する意向だったオーケーは、総会での賛否の集計に問題があったとして、統合手続きの差し止めを求め仮処分を申し立てていました。

これについて、神戸地方裁判所は22日「決議の方法に法令違反、または著しい不公正がある」などとして、オーケーの申し立てを認め、手続きの差し止めを命じる決定をしました。

決定を受けて関西スーパーは「主張が認められなかったことは誠に遺憾だ」としたうえで、これを不服として、裁判所に異議を申し立てる方針を明らかにしました。

関西スーパーは、来月1日にエイチ・ツー・オーの子会社になる予定でしたが、統合手続きの差し止めが最終的に認められれば、オーケーは関西スーパーに対しTOB=株式の公開買い付けを改めて提案する方針で、経営統合の行方は不透明になっています。

集計手続きめぐる双方の主張

今回の申し立てをめぐり、争点となったのは、臨時の株主総会で採決された関西スーパーの経営統合案の集計手続きが妥当かどうかという点でした。

オーケーが今回、統合手続きの差し止めを求めた理由は、総会の議案の結果が関西スーパーにとって都合のよい形で集計し直され、ゆがめられたと考えたためです。

総会を中立的な立場で調べるため裁判所から選ばれた弁護士の報告書によりますと、経営統合の議案について、投票後の集計で、賛成が65.71%と、可決に必要な、出席した株主の3分の2を下回っていて、この時点では可決に必要な多数を満たしていませんでした。

ところが、その後、一部の棄権票を賛成票として数え直した結果、賛成が66.68%となり、3分の2をかろうじて上回り可決したとされています。

具体的には、ある1人の株主が総会で議決権を行使した際「投票用紙に記入がない場合は棄権として集計し、棄権は事実上、反対と同じ効果を持つ」とアナウンスされていたのに、棄権票を投じ、その後、株主本人の申し出によって、賛成票として扱われたということです。

この一連の流れについて、オーケーは、すでに完了していた集計の結果があとから覆されたのは、決議の方法として「違法かつ著しく不公正だ」と主張していました。

これに対し、関西スーパーは集計方法には「何ら違法性や不公正な点はない」として、申し立てを退けるよう求めていました。

関係者によりますと、関西スーパーは、主張の中で棄権から賛成に変更した株主について、先に送られた委任状には議案に賛成する意思表示があったと説明しています。

そして、総会の当日は、
▽総会を傍聴するために株主の職務代行者が会場に出向いたものの、その人物が受け付けで、事前に投票した人が総会を聴く「傍聴」ではなく、その場で投票する権限を持つ「出席」をすると話したため、形式上、会場で投票することになったこと

また、
▽投票の際、担当者に「事前に行使し、意思表示をしている」と、賛成の意向を伝えたうえで、棄権にあたる白票を投じたこと

さらに、
▽集計作業に時間がかかっていることを不安に思った、この人物が、白票の扱いについて会場の担当者に質問し、事情を説明したうえで、弁護士立ち会いのもと、賛成票として扱ったこと、などをあげています。

関西スーパーは、こうした点を踏まえれば、投票行動にかかわらず、この株主が一貫して議案に賛成していたのは明らかで、オーケーの申し立てには根拠がないなどと主張していました。

これまでの経緯

首都圏を地盤とする「オーケー」は、関西への進出を目指す足がかりとして、ことし6月、7%余りの株式を保有する兵庫、大阪が地盤の「関西スーパーマーケット」に対し、TOB=株式の公開買い付けによる買収を提案していました。

しかし、ことし8月に関西スーパーは、阪急阪神百貨店などを運営する「エイチ・ツー・オー リテイリング」と経営統合すると発表し、これに反発したオーケーは、関西スーパーが上場して以来、最も高い株価と同じ1株2250円で買収の提案をしていたことを、みずから明らかにしました。

争奪戦となる中、関西スーパーが10月29日に開いた臨時の株主総会では「エイチ・ツー・オー」との経営統合案が、承認に必要な、出席した株主の3分の2をかろうじて上回る賛成で承認されました。

総会のあと、オーケーの二宮涼太郎社長は、総会の判断を受け入れて、関西スーパーへの買収提案を取り下げる考えをいったんは示していました。

ところが、総会を中立的な立場で調べるために裁判所から選ばれた弁護士の報告書が明らかとなり、事態は一変します。

報告書には「当初の集計では賛成が3分の2を下回っていたが、その後、白票を投じていたある株主の申し出で、その議決権を賛成として取り扱うと説明を受けた」と書かれていました。

これについてオーケーは、本来、否決されるべきものが可決された疑いがあるとして、神戸地方裁判所に対し、11月9日、統合手続きの差し止めを求める仮処分を裁判所に申し立て、争奪戦は司法の場へと持ち込まれました。

これに対し、関西スーパーの福谷耕治社長は、11月10日の会見で「一点の曇りもなく、全く問題ない」と述べ、法律的に見ても、総会の運営は正当なものだったと強調し、全面的に争う姿勢を示しました。

12月1日に関西スーパーがエイチ・ツー・オーの子会社になることが予定される中、僅差で承認された株主総会の統合案をめぐる裁判所の判断が注目されていました。