コロナ 欧州 韓国で感染再拡大 日本では?対策は?

ヨーロッパや韓国などで新型コロナウイルスの感染が再び拡大しています。

韓国ではワクチン接種を終えた人の割合が日本とほぼ同じ水準ですが、感染が収まらない状況が続いています。

各国の感染再拡大の状況、日本で第6波に備えた対策として準備が進められているワクチン3回目接種に対する専門家の見解をまとめました。

ヨーロッパ 感染再拡大の状況は

ドイツでは、新型コロナウイルスの感染が急速に拡大し、感染症対策にあたる政府の研究機関の発表で新規感染者数が6万人を超える日も出るなど過去最多の水準となっています。
1日当たりの新規感染者数が先週2万3000人を超えて過去最多となったオランダでは、政府が屋内施設の利用をワクチン接種を終えた人などに制限する計画を打ち出しました。
第2の都市ロッテルダムでは今月19日、反発する一部の市民がバイクに火をつけるなど暴動に発展したのをはじめ各地で抗議が続き混乱が広がっています。
また、感染が再拡大しているベルギーでも今月21日、首都ブリュッセルでデモが行われ、▽10歳以上の人に対する屋内などでのマスク着用や▽週4日の在宅勤務などを原則、義務づける政府の新たな感染対策に抗議しました。
地元の警察によりますと、デモには、およそ3万5000人が参加し、一部が発煙筒を投げるなど警官隊と衝突して40人余りが拘束されたということです。

ワクチン接種完了の割合 日本と同水準の韓国も感染再拡大

韓国では人口の78.9%が21日までにワクチン接種を終え、政府は接種が順調に進んでいるとして今月から飲食店での営業時間の制限を解除するなど措置の段階的な緩和に乗り出しました。
しかし、1日当たりの新規感染者数は今月17日に3292人と過去最多となり、21日も2827人と日曜日としては、最も多くなりました。

増加の背景には、早い段階で接種を終えた高齢者などの間で、「ブレイクスルー感染」が広がっているという指摘が出ています。

重症者も先週、初めて500人を超えて高い水準が続き、ソウルなどの首都圏では、集中治療室の病床の使用率がおよそ80%と、医療体制のひっ迫への懸念が高まっています。

ムン・ジェイン大統領「重症者増え病床ぎりぎり 気がかり」

国民からの質問に直接答える21日夜のテレビ番組でムン・ジェイン大統領は、「重症者が速いペースで増え、病床がぎりぎりの状態なのが気がかりだ」と述べ、1日の感染者が今の3倍程度まで増える可能性も念頭に準備を進めていると説明しました。

韓国の3回目接種 接種完了から最短で4か月に

3回目の接種について韓国政府は、▽60歳以上の人や入院患者などは接種完了から4か月後に、▽50代も5か月後にそれぞれ前倒しして進めています。

年内には全人口のおよそ4分の1にあたる1400万人近くが追加の接種を終える見通しだとしています。

日本での対策 専門家は「準備が整った地域から3回目接種を」

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は「ワクチンの接種後6か月以降になると、抗体価が下がり、ブレイクスルー感染が起こることが報告されている。こうしたことが韓国やヨーロッパなど各国で起きている。日本でも接種から6か月を過ぎた高齢者や免疫不全の人など重症化しやすい人たちについては3回目の接種を進めていくことが望まれる」と話しています。

そのうえで、接種の進め方について、「若い人については重症化リスクがそれほど高くないため、3回目のワクチンを焦って打つ必要は無いと考えられる。自治体などの現場で接種の担当者が混乱しないように進めていくことが大事で、無理してやろうとすると大変なことになる。いまは感染状況が落ち着いているので、1日も早くというよりは、自治体の状況をみながら準備が整った地域から、3回目の接種を進めていくような対応が求められる」と話しています。

「8か月よりも早めて6か月を過ぎた人たちに接種も大事」

今後について舘田教授は「欧米では接種率が80%を超えているような地域でもブレイクスルー感染で一部で医療のひっ迫が起こるような状況だ。日本では3回目の接種をしっかり進め、準備が整った地域では重症化や死亡のリスクが高い高齢者などについて8か月よりも早めて6か月を過ぎて接種することを考えていくことも大事だ。さらにワクチン以外でも、マスクの着用や3密を避け、換気を徹底するなど、これまでの基本的な感染対策を維持していくことが重要になる」と話しています。