コロナ影響 大学生など中途退学や休学 ことし4~8月で5000人余

コロナ禍の影響で今年度、ことし8月までに中途退学や休学をした大学生などは5000人余りに上り、前の年度の1.6倍以上に増えたことが、文部科学省の調査で分かりました。

この調査は文部科学省が全国の大学や短期大学、それに高等専門学校を対象に行ったもので、全体の95%にあたる1029校から回答を得ました。

ことし4月から8月までの間に中途退学した学生は1万1862人で、休学した学生は5万908人でした。

理由としてはいずれも「経済的困窮」が最も多く、中途退学のおよそ21%、休学のおよそ16%を占めています。

また、全体のうち新型コロナウイルスの影響があったとされたのは、中途退学で701人、休学で4418人で、合わせて5119人に上っていました。

これは昨年度の同じ時期に比べて2057人多く、1.6倍以上に増えています。

コロナ禍で経済的に苦しい学生のため、ほぼすべての大学などで授業料の納付を猶予する対応をとっていることも調査で明らかになり、文部科学省は、大学側と連携して周知に努めるなど学生を支援したいとしています。

専門家「経済的困窮が長く続いている結果」

今回の調査結果について、子どもや若者の貧困問題に詳しい日本大学文理学部の末冨芳教授は「前の年と比べて休学した人の数が増えているのはコロナ禍で経済的な困窮が長く続いている結果だ」と話します。

末冨教授によりますと、政府や大学独自の経済的な支援が受けられる学生もいる一方で、世帯収入や通う大学によってはほとんど支援を受けられない学生も多いということです。

末冨教授は「安心して学び続けてもらうためにも、経済的支援を必要な人にしっかりと届けることが非常に重要だ。政府は困窮する学生に対し一定の給付金を支給する方針を示したが、学業を続けるにはさまざまな費用がかかるため、一人一人の実態に目を向け寄り添うことがこれまで以上に重要だ」と指摘します。

また、合わせて精神面でのサポートが重要になるとして、末冨教授は「思うように大学に行けないことで大きなストレスを感じるなど、学生にとっては心理面の影響も大きい。各大学は身近に相談できる場を作るなど、安心して大学に通える態勢をより一層充実させる必要がある」と話していました。