ワクチンや治療薬 緊急に使用認める制度創設に向け議論始まる

新型コロナウイルスのワクチンなどの承認が、海外に比べて遅れたと指摘されたことを受け、厚生労働省は、ワクチンや治療薬の使用を緊急に認める制度の創設に向けて議論を始めました。

厚生労働省は、新型コロナウイルスのワクチンについて、審査の手続きを簡略化する「特例承認」を適用していますが、日本で承認されたのは、アメリカやEUが使用を認めた時期より、2か月から5か月程度あとでした。

アメリカでは、生命に関わる緊急の状況で、かつ、代わりのワクチンや治療薬がない場合などは、特別に使用を認める「緊急使用許可」という制度があり、厚生労働省は、同様の制度の創設に向けて、18日夜、専門家部会で議論を始めました。

日本では、原則として有効性と安全性を、治験などで厳密に確認することが承認の条件となっていますが、新しい制度では、一定の有効性が認められ、かつ、想定される効果が副反応などのリスクを上回ると判断した場合は、期限付きで承認したうえで、緊急に使用を認めることを検討していくということです。

委員からは、「リスクが効果を上回ったらすぐに使用を中止できる仕組みが不可欠だ」とか、「どのような過程で緊急に使用を認めるのか、国民にわかりやすく説明する必要がある」などといった意見が出ていました。

厚生労働省は、年内に結論をまとめ、制度を創設する方針が決まれば、必要な法律の改正案を来年の通常国会に提出することにしています。