「車持っていますか?」 東京で聞いてみた

自動車といえば、日本経済を長く引っ張る基幹産業です。

しかし、東京にいる人たちに聞くと「車は必要だと思わない」といった声、結構耳にします。

一方で、1000万円を超える高級車を目にすることも少なくありません。

実際はどうなのか?取材してみました。
(おはよう日本 記者 小國博史/ディレクター 村上由和)

東京の車の世帯所有台数は全国最下位

私たちが今回取材したのは東京です。

多くの企業が集中し、通勤通学客であふれる大都市なだけに、街中にはいつも多くの車が走っています。

しかし、地下鉄やバスなどの公共交通機関が張り巡らされ、車がなくても移動することは可能。

駐車場を探すのも一苦労で、しかもその値段は高いとなれば、車をもつことをためらうのもわかる気がします。

実際、東京は1世帯ごとに所有する台数は0.42で全国で最下位。
ちなみに1位の福井は1.71です。
(出典:自動車検査登録情報協会2021年3月)

新宿で30人に聞いた~車持っていますか?

そんな東京・新宿で、今回は街頭インタビューを行うことにしました。

聞いた内容はずばり「車を所有していますか?」

目指す人数は30人です。



まず、答えてくれたのは親子連れです。

車は持っているとしたうえで、その理由にコロナ禍を挙げました。

(40代母親)
「コロナ禍で車を使ってちょっとキャンプにというのはありました。移動中に公共交通機関を使わないのはちょっと安心できます。子どもはワクチン接種ができないので」

(30代母親)
「2人の子どもはまだ小さいので車は必要です」
「毎月ガソリン代が8000円ぐらいかかっていますが、最近は高いですよね」

やはり原油高は車を頻繁に使う人たちにとっては影響が大きそうです。

持っていない「レンタカーで十分」「興味ない」

一方「車は持っていない」と答えた人たち。

その理由を聞いてみました。

(30代男性 フリーランス)
「都内に住んでいるのでレンタカーで十分。免許はあるけど年に数回乗るぐらいです。どちらかというと、車以外にお金をかけたい。必要ないということもあるけど、ある方が不便じゃないですか」

(20代女性)
「車って高いじゃないですか。ほかに欲しいものも多いし、なくても生きていける。都内は電車がよく走ってますからね」

(20代男性 フリーター)
「電車と自転車で生きています。車には全然興味もないです」

(10代女性)
「都内だと車が無くても十分生活することはできます。車にお金をかけるなんて想像することもできません。だから免許ももっていません」

若者の車離れは予想以上

取材した私はぎりぎり30代ですが(ちなみに私は持っています)、若者の車離れは予想以上に進んでいると感じます。

なかでも、今どきだなと感じたのが「カーシェアでいい」という答えでした。

(20代女性 会社員)
「駐車場代とガソリン代を考えればカーシェアの会員の方がいいです」
「めちゃくちゃ簡単です。自分で会員登録するとカードが配られるんですけど、予約した車にそのカードをかざすだけで開錠され、車にすぐ乗ることができます。5分前に予約してもすぐに乗れる形ですよ」

高級車 “憧れ”から“節税対策”まで

一方で、“車は今でも夢を与えてくれる存在だ”という人もいました。

そう話す50代の男性が毎日通勤で使っている外車(700万円)はレーシング仕様にカスタマイズされたものだそうです。

「お金はかかるけど、そのために頑張って働いている」というこの男性は、自身の車への思いをこう表現してくれました。

(50代男性)
「ミニカーからはじまってラジコンカーになって、そして今があるんです。やはり昔からの憧れですよね、車は」

続いてインタビューに応じていただいたのは、別の50代の会社経営の男性。

スマホを取り出して、自慢の愛車レクサスのクーペを見せてくれました。

値段は1500万円だったといいます。

(50代男性)
「気に入って購入した車なんで、乗ってて気持ちいいですね。免許を取れる年になったら車欲しいなって思う年代ですから。自分で運転して目的地に行くのは楽しいですよ。エンジン音も気に入ってます」

また、別の会社経営の40代男性。

こちらもベンツのゲレンデやポルシェのカイエンといった高級車を所有しているということ。

ただ、これら高級車を所有する目的はあくまで「節税対策」で、車に対する思い入れは特にないということでした。

いい車を持つ理由もさまざまなんだと実感しました。

30人に聞いた結果は…

今回インタビューした結果です。

「持っている」と答えたのは11人。

今世界で普及するEV車を持つ人はいませんでした。

一方で「持っていない」と答えたのは19人でした。

もちろん統計学的な数字ではないですが、持っていない人が多くなりました。

これは世帯別の所有台数が全国一少ない東京ならではの傾向なのかもしれません。

今でも車なしでは生活できない地方は多いはずです。

今回の結果を年代別に並び替えてみたのがこちらです。
ご覧のとおり30代以下の若者の多くが「持っていない」という結果に。
これは、日本自動車工業会が車を持っていない20代以下の社会人に聞いたアンケートで、6割以上が車を「買いたくない」と「あまり買いたくない」と答えたという結果とも符合します。

理由としては
▽「電車や自転車で十分」
▽「維持費が高い」
▽「もったいない」
▽「むしろ不便」
▽「興味がない」
などがあげられました。

日本経済を長くけん引する自動車市場は今後どうなるのでしょうか。

2人の専門家に聞いてみました。

モノの所有≠生活の満足度

(大和証券シニアエコノミストの末廣徹さん)
「近年は物を所有することが生活の満足度を高めることではなくなってきている。カーシェアといった生活スタイルは今後も浸透するだろう」

高齢者が安全に運転できるかが課題

(交通エコロジー・モビリティ財団の熊井大さん)
「大きな課題は高齢者がどう安全に運転できるのか、です。自動運転技術が普及するまで車が広く受け入れられ続けるには“低速化”が鍵になるのではないでしょうか」

今回の取材で、車は日本国内の産業構造だけでなく、人々の価値観や社会の変化を映し出していると感じました。

記事を読んでいただいたみなさんは車持っていますか?持っていませんか?

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投稿フォーム https://forms.nhk.or.jp/q/PRTR81EU