コロナ専門家会合「今の水準の維持重要」感染対策継続呼びかけ

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ全国の感染状況について新規感染者数や重症者数などの減少が続いているとして、今の水準を維持していくことが重要だとしました。

今後、年末に向けて忘年会やクリスマスなどで人との接触の機会が増えるとみられ、マスクの着用など基本的な感染対策を続けるよう呼びかけています。

新規感染者数 ことしに入って最も少ない水準続く

17日行われた厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、新規感染者数は16日までの1週間では、前の週と比べて、全国では0.87倍と減少し、ことしに入って最も少ない水準が続いていますが、一部の地域ではクラスターの発生などで増加しているところもあります。

クラスター発生などで やや増加の地域も

首都圏の1都3県では
▽東京都で0.90倍と減少し、
▽千葉県では1.00倍と横ばい、
▽神奈川県で1.20倍、
▽埼玉県で1.58倍と増加しています。

関西の2府1県では、
▽大阪府で0.82倍、
▽兵庫県で0.68倍と減少している一方、
▽京都府で1.20倍と増加しています。

中京圏では、
▽愛知県で0.87倍、
▽三重県で0.10倍、
▽岐阜県では0.26倍と減少しています。

このほかの地域では、
▽沖縄県は0.38倍と減少が続く一方、
▽北海道で1.44倍、
▽福岡県で1.26倍などと、
感染者の数自体は少ないもののクラスター発生などの影響でやや増加している地域もあります。

また、16日までの1週間で9つの県では感染者の報告がありませんでした。

現在の感染状況を人口10万当たりの直近1週間の感染者数でみると、
▽最も多い岡山県で3.28人、
▽大阪府で2.10人、
▽北海道で1.98人、
▽東京都が1.05人などとなっていて、
▽全国では0.91人と1人を下回りました。

現在の低い水準の維持が重要

専門家会合は、全国の感染状況について新規感染者数は去年の夏以降で最も低い水準で、療養者数や重症者数、それに亡くなる人の数も減少が続いていると評価しました。

そして、一部の地域では夜間の人出の増加が続き、飲食店や施設などでクラスターが発生して一時的に感染者数が増加傾向になるところがあるものの、継続的に増加傾向になっている地域はみられないとしています。

一方で、今後は気温の低下に伴って、屋内での活動が増え、年末に向けて忘年会やクリスマス、正月休みなどで人と人との接触の機会が増えることが想定されるとして、感染が再び拡大することを見据えて、現在の低い水準の感染状況を維持することが重要だとしました。

また、専門家会合は、国内でワクチンの2回接種が終わった人は人口のおよそ75%となっているものの、ワクチン接種が先行する諸外国では、中和抗体価の低下などでワクチン接種済みの人も感染する『ブレイクスルー感染』や大幅な規制緩和の中での感染の再拡大が発生しているとして、対策の緩和の際には注意し、12月からの追加接種に向けた準備を進めることが必要だとしています。

そして、接種を終えた人を含めて▽マスクの正しい着用や▽手指の消毒、手洗い、▽ひとつの『密』でも避ける『ゼロ密』、それに▽換気など基本的な対策を徹底するよう呼びかけました。

さらに、飲食の際に一定のリスクの高い状況が重なると集団感染につながるおそれがあることを踏まえ、ワクチン接種を終えた人も含めて飲食の際には、感染対策の認証を受けた店を選び飲食時以外はマスクを着用することなど、改めて一人ひとりが基本的な感染対策を続けるよう呼びかけました。

脇田座長「12月になるとやや増加傾向になる可能性」

厚生労働省の専門家会合のあと記者会見に出席した脇田隆字座長は今後の首都圏の感染状況がどうなるかについて「今、首都圏ではかなり改善してきているが、どこかで感染の伝ぱが継続していて、それがどの場面なのか特定するのは難しい。ワクチンが広く接種されているような感染を抑制する効果と人の接触や移動が増えたり気温が下がって屋内での活動が増えたりする感染が拡大する効果のせめぎ合いとなっている状況だ」と述べました。

そのうえで「今の国内の状況がヨーロッパなど海外で起きているような感染拡大にただちにつながるとは考えにくいが、夜間の滞留人口はそれほどレベルは高くないものの増加してきており、会合で示された分析でも12月になるとやや増加傾向になる可能性があるということだった。次の『第6波』の時期を予測するのは難しいが、低いレベルではあるが感染は継続しているので、社会経済活動が活発化すると再拡大することもあると念頭に置きながら分析を続けたい」と述べました。