3回目ワクチン接種「2回目からの間隔 原則8か月以上で」厚労省

来月12月1日から始まる予定の新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種について、厚生労働省は17日に全国の自治体を対象にした説明会を開き、2回目の接種からの間隔を原則8か月以上とするよう求めました。

説明会はオンラインで非公開で開かれ、全国の自治体のワクチン接種の担当者が参加しました。

厚生労働省によりますと、説明会では来月1日から始まる予定の3回目の接種について、まずは2回目の接種から原則8か月以上たった医療従事者などを対象とするよう自治体に求めたということです。

そのうえで地域でクラスターが発生するなど感染が再び拡大した場合は、2回目の接種からの間隔を6か月以上と短くできるものの、事前に国に相談することが必要で自治体だけで判断はできないと説明したということです。

3回目の接種で使用するワクチンの配送について厚生労働省は接種の間隔を8か月以上とする前提で、来月12月と来年2月にファイザーのワクチンおよそ2000万回分を全国に配送する方針です。

現在、承認審査が行われているモデルナのワクチンについても、来年1月におよそ1700万回分を配送する予定です。

当初の「6か月以上」から「原則8か月以上」に その背景は

厚生労働省は欧米の多くの国が、2回目の接種から8か月以上たって3回目の接種を始めていたことなどから、ことし9月に接種の間隔をおおむね8か月以上とする方針を示しました。

しかし、ファイザーのワクチンの感染予防効果が、2回目の接種から半年後までに半減したという海外のデータが報告され、11日に国内でも、接種からの間隔を少なくとも6か月とすることを条件にファイザーのワクチンの3回目の接種への使用が承認されました。
こうしたことから厚生労働省は15日に開いた専門家でつくる分科会で、「地域の感染状況などを踏まえて自治体の判断で、8か月より前に3回目の接種を行う場合は6か月以上の間隔を空ける」とする案を示し、了承されました。

ところが16日になって厚生労働省は「6か月はクラスターの発生など非常に特殊な状況の場合だ」としたうえで「地域の判断で自由に接種を前倒しすることを認めるものではない」として国に事前に相談することを前提とする考えを示しました。
これについて厚生労働省の担当者は「自治体などの反応を受けた対応だった」と説明しています。

これまで厚生労働省は、2回目の接種からの間隔を8か月以上とすることを想定して3回目の接種体制を確保するよう自治体に求めていたことから、自治体からは、前倒しすると会場の確保などが間に合わないという声が寄せられたということです。

また、ワクチンについても国からは8か月を前提にした量が配送されるため、前倒しするとワクチンが不足するのではないかと懸念する声が上がりました。

自治体からは「間隔を一律にしてほしい」といった声も寄せられたということです。厚生労働省は「6か月以上というのはあくまで最低限のラインで改めて原則は8か月以上だと明記した。対応を変えたつもりはないが、誤解を生まない表現に統一した」と説明しています。

自治体の担当者からは安どの声も

「これまでどおり基本は8か月で一安心」

東京 豊島区では、ワクチン接種の担当者12人が厚生労働省の説明会に参加しました。

説明会では自治体側から3回目の接種間隔についての質問が多く寄せられ、厚生労働省の担当者が「原則8か月以上で、これまでの接種体制を維持していただければと思います。どのような条件で前倒しが可能となるのかは相談をいただく中で丁寧に説明していきます」などと答えていました。

説明会のあと、豊島区の新型コロナウイルスワクチン接種担当の澤田健司課長は、「月曜日の厚生労働省の専門家の分科会の議論では急に6か月の話が出て、現場としては困惑し、会場の確保などが厳しいと思っていた。きょうの説明会の中で国からは、これまでどおり基本は8か月ということだったので、一安心した。ただ、どういうケースで6か月を認めるのかについて、明確な回答がなかったので、今後の国の情報を注視していきたい」と話していました。

豊島区には、17日に3回目の接種に使うワクチンの一部が届いたということで、来週以降、接種券の発送作業を行うなど準備を進めていくことにしています。

「正直ほっとした」

説明会に参加した自治体の担当者はNHKの取材に対し「8か月で準備していたので正直ほっとした。ワクチンの配分がどうなるかなど先が読めない状況が続いているので、国は分かりやすく説明してほしい」と話していました。

また、別の自治体の担当者は「ほかの自治体が6か月で接種した場合に住民から『なぜ打てないのか』と不満が出てしまうのではないかと心配だった。原則8か月と明確に示されたので安心した」と話していました。

医療従事者「時期来たら速やかに接種受けられる態勢を」

新型コロナウイルスのワクチンの3回目の接種について、コロナの患者と接することもある医療従事者からは、時期が来たら速やかに接種を受けられるよう態勢を整えてほしいという声が上がっています。

東京 世田谷区の診療所では、感染が拡大して以降、感染の疑いがある患者の診察やかかりつけの患者へのワクチン接種を続けてきました。

医師や看護師は、ことし5月以降、接種を受けたということですが、当初は、感染リスクが高いなかで対応を迫られ、医療従事者以外の接種が始まっているのになかなか接種が受けられない時期もあったということです。

このため、3回目の接種は、時期が来たら速やかに受けられる態勢を整えてほしいとしています。

ちとせ船橋駅前内科の名倉文香院長は、「順番としては医療従事者が3回目を打って、それから皆さんに打てるのがいちばんいいかなと思う。コロナと気付かずに、来院してしまう患者もいるので私たちが早く接種をして、他の方々に感染させないよう徹底していかないといけない。副反応についても自分自身が打っていないと、患者に対して説明しにくい」と話していました。

ワクチン相 “個別接種 予約段階でワクチンの種類選べるように”

一方、3回目の接種について堀内ワクチン接種担当大臣は17日、記者団に対しアメリカの製薬会社モデルナが、3回目の接種に必要な承認申請を厚生労働省に行ったことを踏まえ来年2月から3月にかけての使用分としてファイザーとモデルナのワクチン合わせて3700万回分を全国に配分すると説明しました。

そのうえで2回目の接種からおおむね8か月を迎える人たちに順次、接種券が届くとして「対象となる人数に相当する十分な量を配分させていただく」と述べました。

さらに自治体が行う医療機関での個別接種では、これまでのファイザーに加えて、モデルナのワクチンも接種できるようにし、予約する段階で選べるようにする方針を明らかにしました。

そして「1回目と2回目と同じワクチンを接種する場合でも異なる場合でも、副反応の発生に差はないと報告を受けている。ファイザーとモデルナのそれぞれの接種体制を充実させる」と述べました。