分科会の専門家など 第5波までを教訓に「医療体制の在り方」

第5波までの新型コロナ対応を教訓にした、今後の医療体制の在り方を政府の分科会の専門家などがまとめました。これまでの感染拡大では、コロナ患者用に確保したとしていた病床のうち、一定数は実際には使えなかったとして、確保病床のうち、運用可能な限界が80%程度であることを前提に、都道府県と病院が協力して事前に調整するなどとしています。

分科会の専門家などは、日本の医療体制の構造や、感染拡大時に明らかになった課題を分析し、今後の医療体制の在り方についてまとめました。

それによりますと、これまでの感染拡大時には、行政や保健所に膨大な負担が生じて自宅療養者の健康観察が十分に行えなかったことや、一部の自治体では、医療機関の対応能力を超えて病床の確保が優先され、病床使用率が60%ほどの時点で実際には入院できなくなったケースもあったなどとしています。

こうした検証を踏まえて専門家らは、自宅療養者の情報を共有する仕組みを作ることや、確保病床のうち、実際に運用可能な限界は80%程度であることを前提に都道府県と病院が協力して事前に調整することが重要だとしています。

そのうえで、今後の第6波では、ワクチンや抗原検査キット、軽症者に使える薬を活用し、重症化する患者を減らすことや、コロナ以外の患者の治療も行えるよう、都道府県が病床の稼働状況をリアルタイムで把握しながら入院調整し、回復期には別の病院に迅速に転院できるようにして病床を効率よく運用すべきだとしています。

この医療体制の在り方は、16日に開かれる分科会で示され、議論が行われる予定です。