ミャンマーで拘束の米国人ジャーナリスト 解放され帰国の途に

ミャンマーでクーデターにより実権を握った軍に拘束され、先週、虚偽の情報を広めた罪などで、禁錮11年の有罪判決を受けていたアメリカ人ジャーナリストが15日、解放され、帰国の途につきました。

解放されたのはミャンマーの有力英字誌「フロンティア・ミャンマー」の編集幹部を務めるダニー・フェンスター氏です。

「フロンティア・ミャンマー」の声明によりますと、フェンスター氏は15日、刑務所から解放され、すでにミャンマーを去り、帰国の途についたということです。

声明は「ダニーの解放のために尽力してくれたすべての人に感謝する。彼は、クーデター後に仕事をしていただけで不当に拘束されたおおぜいのジャーナリストのひとりであり、軍に対しては、ほかの全員の解放も求める」と訴えています。

フェンスター氏は、ことし5月24日最大都市ヤンゴンの国際空港で出国直前に拘束されたあと、虚偽の情報を広めた罪や非合法の組織と関わった罪などで訴追され、今月12日、禁錮11年の有罪判決を言い渡されていました。

また、テロ対策法違反と扇動の罪でも新たに訴追され審理が続く見通しになっていました。

軍の統治下で行われているこうした裁判をアメリカ政府は強く非難し、繰り返し解放を求めていました。

フェンスター氏の解放の背景には、人権問題などをめぐって国際社会からの高まる批判をやわらげようという、ミャンマー軍のねらいがあるものとみられます。

米国務長官「解放を歓迎」

アメリカ人ジャーナリストの解放を受けて、アメリカのブリンケン国務長官は15日に声明を発表し、「およそ6か月にわたり不当に拘束されていたフェンスター氏の解放を歓迎する」としたうえで、解放に尽力した人物の1人として、アメリカの元国連大使のビル・リチャードソン氏の名前を挙げて称賛しています。

そのうえで、ブリンケン長官は「我々は引き続き、ミャンマーでいまだ不当に拘束されている人たちの解放を求めていく」としています。

アメリカの元国連大使が解放を働きかけか

今回のアメリカ人ジャーナリストの解放について、AP通信などは、クリントン政権時代にアメリカの国連大使を務めたビル・リチャードソン氏の働きかけで実現したと伝えています。

リチャードソン元国連大使は、クーデターで実権を握った軍のトップ、ミン・アウン・フライン司令官と今月2日に会談していて、その際に直接、ダニー・フェンスター氏の解放を交渉したということです。

今月15日にミャンマーの首都ネピドーで撮影されたとされる写真では、リチャードソン元国連大使と解放されたフェンスター氏が、飛行機の前で互いに寄り添っている様子が確認できます。

リチャードソン氏は声明で、「計り知れないほど困難な状況の中、これまで彼を支えてきた愛する人たちとダニーがようやく再会できることを私たちはとても感謝しています」としています。

解放は日本からの働きかけも考慮

フェンスター氏が解放されたあと、ミャンマー軍がクーデター後に設置した最高意思決定機関「国家統治評議会」が声明を発表しました。

それによりますと、「日本ミャンマー協会の渡辺秀央会長、日本財団の笹川陽平会長、アメリカ、ニューメキシコ州の元知事、ビル・リチャードソン氏の要請を受け、ミャンマーと日本やアメリカとの友好関係に鑑みて、フェンスター氏の罪は免ぜられミャンマーから追放する措置がとられた」とし、解放には日本の働きかけも考慮されたと述べています。