米前政権が発動の追加関税 解決に向け協議開始で日米合意

萩生田経済産業大臣は日本を訪れているアメリカのレモンド商務長官と15日、会談しました。アメリカの前のトランプ政権が発動した鉄鋼製品などへの追加関税をめぐって、解決に向けて協議を始めることで合意しました。

萩生田経済産業大臣とアメリカのレモンド商務長官は経済産業省で会談しました。

この中で自動車部品や半導体などの供給網=サプライチェーンの強化に向けた協力の在り方や前のトランプ政権が発動した鉄鋼とアルミニウムに対する追加関税などが議題となりました。

そして経済産業省によりますと、日本の鉄鋼とアルミニウムにかかっている追加関税について問題の解決に向けて両国で協議を始めることで合意しました。

アメリカは中国の過剰生産によって鉄鋼やアルミニウムが安く輸入されていることが安全保障上の脅威になっているとして2018年3月以降、鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の追加関税をかける輸入制限措置をとっていて、日本からの製品も対象となっています。

EU=ヨーロッパ連合などはアメリカに報復関税の措置をとり貿易摩擦に発展していましたが、バイデン政権は先月、EUに対する追加関税について一部、免除することで合意しています。

日本はアメリカに対して報復関税措置をとっておらず、これまで日本への追加関税の撤廃を強く求めてきた経緯があります。

日本の鉄鋼は輸入制限措置前の6割近く減少

日本はEUと異なりアメリカに対して報復関税の措置は取りませんでした。

アメリカ=EU間の貿易摩擦に解消の兆しが見える中、日本は今も追加関税がかかったままの状況が続いています。

この輸入制限措置はアメリカに輸入される日本の鉄鋼やアルミ製品のほとんどが対象となっています。

措置が発動されるまで日本からの鉄鋼とアルミ製品にかけられる関税は低く抑えられていましたが、追加関税によって貿易にも影響が出ました。

アメリカの輸入統計によりますと、去年アメリカに輸入された日本の鉄鋼製品の量は、72万トンです。

措置が発動される前の2017年の173万トンと比べると6割近く減少しました。

措置の影響だけでなく、新型コロナウイルスの感染拡大による鉄鋼製品の需要低下も要因になったとみられています。

日本政府は、アメリカとの2国間の閣僚会談などで日本を対象から外すよう要請するなど問題の解決に向けて取り組んできましたが、これまで具体的な進展はありませんでした。

米に輸入される鉄鋼やアルミニウムに対しての関税は

アメリカに輸入される鉄鋼やアルミニウムに対して高い関税を課す異例の輸入制限措置は、トランプ政権時代の2018年3月に発動されました。

この措置はアメリカの通商拡大法232条に基づくもので、輸入製品がアメリカの国家安全保障に脅威を与える場合、大統領は輸入調整などの措置を取ることができると書かれているのを根拠にしています。

トランプ政権は中国の過剰生産によって鉄鋼やアルミニウムが安値で輸入されていることがアメリカの鉄鋼業に打撃を与え安全保障上の脅威になっているとして、日本を含む世界各国からの鉄鋼製品に25%、アルミ製品には10%の高い関税を上乗せする輸入制限措置をとりました。

また去年、鉄鋼・アルミから生産されたネジやケーブルなども対象として追加されました。

その後、韓国やアルゼンチン、ブラジル、オーストラリアは2国間の合意によって措置から除外され、おととしにはカナダとメキシコも除外されました。

一方、EU=ヨーロッパ連合はアメリカが関税を上乗せしたものと同じ鉄鋼製品に加え、一部の製品に対し総額28億ユーロ、日本円にしておよそ3600億円のアメリカからの輸入品に報復関税を課し、アメリカとEUの貿易摩擦へと発展しました。

その後、アメリカとEUの間では協議が進みバイデン政権は先月、EUに対して追加関税の措置を緩和することで合意したと発表しました。

それによりますと、アメリカ側は鉄鋼とアルミニウムに対する追加関税は維持しますが、来年1月から一定の数量、年間330万トンまでは関税を免除するとしています。

これに対しEU側も一部の製品に課していた報復関税を撤廃するということで貿易摩擦の解決に向けて一定のめどがついた形になりました。

林外相 米商務長官に追加関税措置の撤廃求める

また林外務大臣も日本を訪れているレモンド商務長官と15日午後、外務省で会談し、追加の関税措置を撤廃するよう求めたのに対し、レモンド長官は優先的に取り組んでいく考えを示しました。

また会談ではサプライチェーンの強じん化を含めた経済安全保障などをめぐっても意見が交わされ、レモンド長官はインド太平洋地域との協力を進めていくため、日本とともにイニシアチブを発揮していきたいという認識を示しました。

さらに松野官房長官も15日午後、レモンド長官と総理大臣官邸でおよそ20分間会談しました。

この中で松野官房長官が岸田内閣が掲げる「新しい資本主義」などを紹介したうえで「日米両国の競争力と強じん性強化のために協力していきたい」と述べたのに対し、レモンド商務長官はインド太平洋地域への関与を再強化するため、日米両国で協力していきたいという意向を示しました。