ワタミ 中間決算赤字に「大規模居酒屋は最大の危機」渡邉社長

居酒屋チェーンなどを展開する「ワタミ」のことし9月までの半年間の決算は、緊急事態宣言による飲食店での酒類の提供停止などにより、最終的な損益が30億円の赤字となりました。ただ、前の年度の同じ時期と比べると赤字幅は縮小しました。

ワタミが12日発表したことし4月から9月までの半年間のグループ全体の決算は、売り上げが286億円で、緊急事態宣言による飲食店での酒類の提供停止や営業時間短縮の影響が残り、30%以上落ち込んだ前の年度の同じ時期から横ばいでした。

また、最終的な損益は30億円の赤字で、この時期としては8年連続の赤字でしたが、自宅などに総菜を配達する事業の収益が伸びたほか、店舗の休業に伴う助成金などを営業外の収益として計上したことで、前の年度の同じ時期の71億円の赤字と比べると赤字幅は縮小しました。

一方、今年度1年間の業績見通しについては、新型コロナの影響が見通せないとして、引き続き、未定としています。
ワタミの渡邉美樹会長兼社長はオンラインの会見で「第6波の予想もある中、夜間の人出が回復せず、原油高や原材料費の上昇もあり規模の大きい居酒屋は最大の危機を迎えている。新業態の開発などで乗り越えていきたい」と述べ、先行きへの警戒感を示しました。

今後の消費の見通しに明暗

緊急事態宣言が解除され、経済活動の正常化に向けた動きが進む中、今後の消費の見通しについて、小売りや外食の経営トップからは、いわゆる「リベンジ消費」に期待の声が上がる一方、コロナ前の水準に戻るには時間がかかるという慎重な見方も示されました。

このうち、デパート大手、三越伊勢丹ホールディングスの細谷敏幸社長は10日のオンラインでの決算会見で「緊急事態宣言の影響で、ことし4月から9月までの今年度上半期は、売り上げの落ち込みが激しかった。ただ、宣言が解除されてからは、日本人の買い物客の売り上げは回復している」と述べ、いわゆる「リベンジ消費」が出始めていて、今後も広がることに期待を示しました。

一方、ファミリーレストラン最大手のすかいらーくホールディングスの谷真会長兼社長は、12日のオンラインでの決算会見で「宣言の解除や行動制限の緩和によって、客の動きはよくなると考えているが、コロナ禍でライフスタイルは変化していて、コロナ前に戻るには相当な時間がかかると考えている」と述べました。

そのうえで、深夜の時間帯の売り上げの回復が遅れていることや、原油高や原材料価格の上昇といったコスト高が業績に与える影響に懸念を示しました。