本庶さんと製薬会社和解 本庶さんに50億円 京大に230億円寄付

ノーベル医学・生理学賞を受賞した京都大学特別教授の本庶佑さんが、開発に関わったがんの治療薬の特許使用料をめぐって大阪の製薬会社を訴えた裁判は、製薬会社が本庶さんに50億円を支払うとともに、京都大学に230億円の寄付を行うことなどで12日、和解が成立しました。

3年前にノーベル医学・生理学賞を受賞した京都大学特別教授の本庶佑さんは、去年6月、みずから開発に関わったがんの治療薬「オプジーボ」を製造販売する大阪の小野薬品工業に対して、特許使用料の配分が異常に低いなどと主張して、262億円の支払いを求める訴えを大阪地方裁判所に起こしていました。

これまでの裁判ではことし9月に行われた本庶さんと小野薬品工業の社長の尋問で双方の主張が真っ向から対立するなど本庶さんに支払われる金額の妥当性をめぐって全面的に争われていました。

しかし小野薬品工業によりますと裁判所が繰り返し和解を勧告したことを踏まえ、協議が行われた結果、12日、小野薬品工業が本庶さんに解決金などとして50億円、京都大学に設立される、小野薬品と本庶さんがつくる研究基金に230億円の寄付を行うことなどで和解が成立したということです。

これについて本庶さんの代理人の井垣太介弁護士は「本庶さんももともと裁判を起こしたかったわけではなかった。基礎研究を長期的展望で体系的に支援する目的のために、裁判所からの和解勧告でそれぞれが前向きに検討して合意したものだ」と説明しています。

本庶さん「企業から還流の資金や寄付で基礎研究を支援したい」

和解を受けて本庶さんは「裁判所の調整によって納得できる内容の解決ができた。企業から還流される資金や寄付により、基礎研究を長期的展望で支援したい。企業と大学が協力して、若い研究者が人生をかけてチャレンジできる研究環境を用意していくことが、国の成長には不可欠だ」というコメントを出しました。

小野薬品工業 「株主・ステークホルダーに理解もらえると判断」

小野薬品工業は、京都大学特別教授の本庶佑さんとの和解が成立したことを受けて12日夕方、会見を開きました。

この中で、相良暁社長は「長きにわたって株主の利益と、本庶先生の、両方の間に挟まれて非常に難しい状況に置かれており、裁判にまで至った。しかしながら、裁判所からの和解提案を総合的に検討した結果、株主・ステークホルダーの皆さんに理解してもらえる範囲だと判断した」と述べ、和解に至った経緯を明らかにしました。

そのうえで、相良社長は「今後、本庶先生とはわが国における医学、薬学研究のさらなる発展、オプシーボのさらなる普及のために協力していけると思っている。全面解決に至ったことを心から喜んでいる」と話しました。

基金は生命科学など研究の若手研究者育成が目的

今回の和解で、京都大学には小野薬品工業からの230億円の寄付をもとに、新たに「小野薬品・本庶記念研究基金」が設立されることになりました。

京都大学によりますと、基金は生命科学などの研究に携わる若手研究者の育成を目的に設けられ、研究者の雇用や研究費などに活用されるということです。

京都大学の湊長博学長は「和解が成立したことを喜ばしく思います。基金の趣旨に基づき、優秀な若手研究者の育成、支援に努めて参ります」とコメントしています。