ジップエア 日本のLCCで初 成田-ロサンゼルス便 12月から運航

日本航空が設立したLCC=格安航空会社の「ジップエア」は、来月から成田空港とロサンゼルスを結ぶ旅客便の運航を始めると発表しました。

日本のLCCがアメリカ本土とを結ぶ便を就航させるのは初めてで、日本やアメリカが今月から入国制限を緩和するなか、航空需要を喚起したいとしています。

国際線のLCC「ジップエア」は、12日に記者会見を開き、成田空港とアメリカのロサンゼルスを結ぶ旅客便の運航を来月25日から始めると発表しました。

日本のLCCがアメリカ本土の路線を就航させるのは、ジップエアが初めてとなります。

今月8日に、日本とアメリカが入国制限を事実上緩和するなか、ジップエアは、ビジネスや一時帰国などの往来による需要を見込んでいるほか、さらに収益を高めるために、自動車や半導体の部品、それに生鮮食品などの貨物の輸送も行い、週に3往復、運航するということです。

コロナ禍で大手航空会社が採用を大幅に縮小するなか、ジップエアでは、100人の客室乗務員を採用するなど、アフターコロナを見据えて新たな国際路線の就航を進めてきました。

「ジップエア」の西田真吾社長は「貨物輸送で収益を高めるとともに、水際対策の緩和によって日米両国の航空需要の回復が見込まれているので、日本だけでなく、海外の方々の利用を期待したい」と話していました。

利用者からは期待の声

日本のLCCがアメリカ本土とを結ぶ便を初めて就航させることについて、成田空港を利用する人からは、ビジネスや観光での利用に期待する声が聞かれました。

タイに出張する自営業の30代の男性は「自営業なので、海外に出張するときには、経費をできるだけ安く抑えるためにLCCはぜひ利用したいです」と話していました。

アメリカに渡航する自営業の30代の女性は「アメリカには観光でよく行きます。LCCは運賃の価格が安くてとてもいいと思うので、観光で使いたいです」と話していました。

入国制限緩和で需要の高まりに期待

新型コロナウイルスの水際対策をめぐり、日本やアメリカでは11月から外国人の入国制限が緩和され、旅客便の需要の高まりが期待されています。

日本では今月8日から、ビジネス目的の入国者について、ワクチンの接種などに加え、企業が行動を管理することなどを条件に、自宅などでの待機期間が原則3日間に短縮されました。

また、これまで原則停止されていた外国人の新規の入国についても、ビジネス目的を認めるなど、一部、条件付きで再開されました。

一方、アメリカでも今月8日から、ワクチンの接種を終えていることを条件に、外国人の入国を認める新たな措置が始まりました。

コロナ禍でも客室乗務員 異例の100人採用

新型コロナウイルスの影響で、大手航空会社が新規の採用を大幅に縮小する中、ジップエアは感染収束後を見据えた路線拡大に向けて、コロナ禍で異例の戦略とも言える客室乗務員100人の採用を行いました。

ことしの春「ジップエア」に入社した客室乗務員の麻生真央さん(24)は、乗務を目指して訓練や研修を重ねてきました。

訓練では経費削減のため、手作りの紙コップを使った酸素マスクや、レジ袋を代用した救命胴衣などを活用しました。

麻生さんは、新型コロナの収束が見えず、国際線の運航がコロナ前の状況に戻るのか不安があったといいますが、地道な努力が実を結び、新設される北米路線で今後、客室乗務員として乗務する見通しです。

麻生さんは「これまでしっかりと準備をつんできたので、発揮できる場がやっときて、とてもうれしいです。これからファンをたくさん作っていきたいです」と話していました。