未上場株の“メルカリ”日本初登場【経済記者コラム】

金融市場の動きを読み解く「マーケット興味津々」のコーナー。今、コアな個人投資家のあいだでひそかに話題になっているのが未上場株をオンラインによって投資家どうしで売買できるサービスの登場です。12月8日から始まる日本初の取り組み、どのようなものなのでしょうか。(経済部記者 野上大輔)

未上場株の取り引きというとどのようなイメージをお持ちでしょうか。プロの投資家であるベンチャーキャピタルや富裕層などに限られた、個人投資家にはとても手の出せるものではないと思われる方も多いと思います。

実際、未上場の会社は決算報告の開示義務もなく、投資に必要な情報を入手するのも困難です。

しかし、日本でもこの数年、国から登録を受けた企業が窓口となって未上場株を購入できるサービスが動き出しています。

「株式投資型クラウドファンディング」と呼ばれています。

そして、新たに個人の投資家どうしで未上場株を売買できる新しいマーケットが誕生します。

「日本クラウドキャピタル」という会社が、国から認められて、12月8日からスタートさせます。日本初の取り組みです。

どんな取り引きかというと、例えば田中さんが保有している未上場のA社の株式を面識のない高橋さんにスマホを使ってオンラインで売ることができるというものです。いわば、未上場株の“メルカリ”とでも呼ぶべき存在です。

従来、未上場企業の株式は、流動性がほとんどなく、持ち続けることが一般的でした。その会社がめでたく上場するか、他社の上場企業に買収されるなどしないかぎり、売りたくなっても売ることが難しかったわけです。

新たなマーケットができることによって、投資家は未上場株を自由に売却することが可能になり、資金が集まりやすくなることも期待されます。

そもそも日本はベンチャー企業が少なく、起業家が育ちにくい環境だと指摘されています。

コロナ禍からの日本経済回復のためには元気なベンチャー企業、スタートアップ企業がイノベーションを生み出すことが欠かせませんが、こうしたチャレンジする企業にお金が回りにくい構造がずっと続いています。

未上場株の“メルカリ”の誕生によって、リスクマネーが循環しやすくなれば、日本経済に新たな光が差し込む可能性もあります。

政府もスタートアップの資金調達を新たな経済対策の1つに掲げています。

もちろん未上場株への投資は上場株式に比べて相応のリスクがあることにはよくよく注意が必要です。各事業者では、取り扱うベンチャー企業への審査を個別に行っていますが、限られた開示情報で最終的に判断する責任を持つのは個人です。

日本初の取り組み、カフェでスマホ片手に未上場株の売買に集中する個人投資家の姿が普通となる日がくるのか、タイトルどおり私も興味津々です。

注目予定

注目予定はなんといっても15日(月)の日本の7-9月期のGDPです。民間のシンクタンクの事前の予測では、前期比で2か月ぶりのマイナスとみているところが多くなっています。半導体・部品調達難の影響がコロナ渦からの回復にどこまでブレーキをかけているのか、輸出の落ち込みの度合いに注目が集まっています。