入院患者との面会 接種済家族対象に緩和へ 東京 墨田区の病院

新型コロナウイルスの感染者数が減少傾向となる中、東京 墨田区の病院は、去年から続けてきた入院患者と家族の面会の制限について、原則、ワクチンを接種している家族を対象に、来週から緩和していくことを決めました。

東京 墨田区の墨田中央病院は、新型コロナウイルスから回復したものの入院中に足腰が弱るなどした患者を受け入れる後方病床を設け、対応に当たっています。

病院での感染の広がりを防ぐため、去年3月以降、入院患者と家族の面会は禁止してきましたが、感染者数が減少傾向となったことを受けて、来週15日から制限を緩和し、面会を再開することを決めました。

医師や看護師らが面会の条件について協議を重ね、原則としてワクチン接種を2回行った家族を対象とし、事前予約制で面会は1回につき2人まで、面会時間は15分程度までとすることになりました。

また、直前の検温や換気など基本的な感染対策は徹底し、何らかの事情があってワクチンが未接種の家族についても、5分から10分と時間を短縮して面会を認めるということです。

病院では面会再開を知らせる貼り紙を職員が掲示したり、ロビーの一部を透明のシートで区分けした面会場所の状況を確認したりしていました。

面会の際に対応に当たる看護師は「家族と面会するだけで患者の表情が変わったり食欲が出てきたりと、心境の変化は大きいので、緩和できてよかったです」と話していました。

小嶋和樹事務長は「面会再開にあたって不安要素がないかと言われたら、うそになりますし、コロナは完全に収束したわけではないので規制をすべてなくすことはできないが、『面会させてあげたい』という思いで協議を進めてきた。地域医療を守っていくため、感染対策は引き続き緩めずに行っていきたい」と話していました。

面会制限緩和へ 病院では条件協議

墨田中央病院では、新型コロナウイルスの感染拡大で制限してきた面会をどのように緩和していくか、今週、協議が行われました。

感染者数が減少傾向になっていることや、患者からの要望を踏まえ、面会を再開するにあたってどのような条件を設けるかさまざまな意見が出ました。

ワクチンの2回接種を条件にするかどうかについては、医師や看護師から「体質などでワクチンを接種できない人もいるのではないか」という懸念が示されました。

また、接種していない人には検査を受けてもらい、陰性証明を求める案も出されましたが、「患者家族の費用負担になるのではないか」などとして、条件にはなりませんでした。

最終的に、原則としてワクチン接種を2回行った家族を対象とし、事前予約制で、面会時間は15分程度までとすることになりました。

一方、何らかの事情があってワクチンが未接種の家族についても、5分から10分と時間を短縮して面会を認めることになりました。

墨田区 区内9病院で制限緩和へ

墨田区保健所は、感染状況が減少傾向となっていることなどを踏まえて、区内の病院に対し、入院患者の面会の制限緩和を呼びかけ、それぞれの病院で検討が進められました。

保健所によりますと、12日までに新型コロナの対応に当たる区内の11の病院のうち、9つの病院が制限を緩和し、面会を再開することを決めました。

一部の病院は、面会の条件として、ワクチン接種の有無を書類でも確認することにしていますが、そのほかの病院は、口頭で確認はするものの面会の絶対条件にはせず、基本的な感染対策を徹底したうえで緩和を進めるところが多いということです。

墨田区保健所の西塚至所長は「面会制限の緩和について区民からも要望がある中で、区としては高いワクチン接種率を背景に感染対策と日常生活の回復を両立できるようになったと考えた。当初はちゅうちょする病院もあったが、専門家の助言も伝えながら緩和を促してきた」と話しています。