政府 第6波に備え医療提供体制の強化など対策の全体像を決定

新型コロナウイルスの第6波に備え、政府は対策の全体像を決定しました。感染者数がピークだったことし夏に比べて3割多い患者が入院できる体制を今月中に構築し、軽症者向けの飲み薬を160万回分確保し、年内の実用化を目指すことなどが柱となっています。

新型コロナウイルスの第6波に備え、政府は12日午前、対策本部を開いて、医療提供体制の強化など、対策の全体像を決定しました。

それによりますと、医療提供体制を強化するため、感染者数がピークだったことしの夏よりも3割多い、およそ3万7000人が入院できる体制を今月中に構築し、ITを活用して来月から医療機関ごとの病床の確保状況や使用率を公表するとしています。
また、来月から3回目のワクチン接種を開始し、2回目の接種からおおむね8か月以上たった希望者全員が受けられるようにし、条件が整えば、来年3月を目途に職域接種を始めるとしています。
さらに治療薬の確保に向けて、軽症者向けの飲み薬を年内に実用化することを目指し、国内向けに160万回分を確保して、薬事承認が行われれば速やかに医療機関に供給すると明記しました。
一方、健康上の理由などでワクチンを接種できない人を対象に、来年3月まで、予約しなくても無料のPCR検査などを受けられるようにするほか、感染が拡大している場合には、都道府県の判断で、無症状でも無料で検査を受けられるようにすることも盛り込みました。

岸田総理大臣は、「最悪の事態を想定し、次の感染拡大への備えを固めていくことが重要だ。医療体制を早急に確保し、ワクチン、検査、飲める治療薬の普及による予防発見から早期治療までの流れを強化し、重症化リスクを減らす」と述べ、対策に万全を期すよう閣僚に指示しました。

後藤厚労相「医療提供体制の強化は実現可能性ある」

後藤厚生労働大臣は閣議の後の記者会見で、全体像で示した医療提供体制強化に向けた取り組みについて、「自治体や医療機関には、この夏の経験をふまえて真摯に検討し、さらに高い目標を掲げてもらった。稼働状況を徹底的に見える化することなどで、実現可能性は十分にある目標だ。国と自治体が連携し、地域の医療資源を総動員して対応していきたい」と述べました。

松野官房長官「行動制限緩和の取り組み進める」

松野官房長官は、午後の記者会見で「簡易かつ迅速に利用できる検査の環境整備や、ワクチン接種証明の活用などを進めることで、経済社会活動に伴う感染リスクを以前よりも引き下げることができると考えている。今後、感染拡大を防止しながら経済社会活動を継続できるよう、行動制限の緩和の取り組みを進めていく」と述べました。