中国「独身の日」ネット通販各社大規模セール 社会貢献を意識

中国では、「独身の日」と呼ばれる11月11日、恒例となっているネット通販各社による大規模なセールが行われています。習近平指導部が格差の是正を掲げる中、最大手のアリババグループは、セールの取り引き状況に応じて寄付を行うなど、社会に貢献する姿勢をアピールしています。

11月11日は、中国で独身を意味する数字の「1」が並ぶことから、「独身の日」と呼ばれ、この日にあわせてネット通販各社が毎年、大規模なセールを行っています。

去年は、セールにあわせた11日間の取り引き額が最大手のアリババグループはおよそ8兆8000億円、2位の京東はおよそ4兆8000億円に上るなど、年々規模が拡大しています。

セールには、日本企業も多く参加していて、中国の消費動向を把握するうえでも注目されています。

ただ、アリババグループは、毎年、11日の午前0時にあわせてカウントダウンを行い取り引き額などを宣伝していたイベントについて、ことしは新型コロナウイルス対策を理由に実施していません。

一方、セールの取り引き状況に応じて寄付を行うほか、消費者や出店する企業にも寄付を促す取り組みを行うなど、社会に貢献する姿勢をアピールしています。

習近平指導部は、ネット通販各社をはじめ影響力を増す巨大IT企業に対し、統制を強めているほか、「共同富裕」と呼ばれる格差の是正も掲げていて、各社もこうした指導部の方針を意識しているとみられます。

アリババグループ 社会貢献をアピール

習近平指導部が貧富の格差の是正に取り組む方針を示す中、アリババグループは、社会貢献への取り組みをアピールしています。

ことしの「独身の日」のセールでは、貧困家庭などの支援を強く打ち出していて、セールの取引状況などに応じて寄付を行うほか、消費者に寄付を促す取り組みも行っています。

また、省エネ製品などをそろえた専門サイトも用意され、対象の商品を購入する際に利用できるクーポンも発行するなど、習近平指導部が重視する環境問題に配慮したセールを積極的に展開しています。

このほか、以前から行ってきた農村の活性化や、伝統工芸品の継承を後押しする取り組みも改めてアピールしています。

このうち、湖北省漢川市の農村地域では、市の無形文化遺産に登録され、清の時代から作られてきたという陶芸品の販売をサポートしています。

この地域で茶器の陶芸品を制作している陳団員さんは、販売先の確保に悩んでいましたが、アリババグループが去年、宣伝動画をつくり、通販サイトでも文化的に価値のある伝統工芸品として優先的に紹介したことで売り上げが伸びたといいます。

これまで担い手が途絶える可能性も指摘されてきましたが、制作した陶芸品が、以前よりも5倍以上多い年間で200万円余りを売り上げるようになったため、今後も努力を重ねて、次の世代に引き継いでいきたいとしています。

陳さんは「こうした機会がなければ、われわれの陶芸品は徐々に消えていったでしょう。製品を全国各地に大々的に広めることにつながるので、通販サイトに感謝したいと思います」と話していました。

アリババグループとしては、習近平指導部が影響力を増す巨大IT企業への統制を強める中、社会的な貢献をアピールし、さらなる圧力を避けたい思惑もあるとみられます。

IT業界 締めつけの“逆風”で“盛り上がりない”

年々、規模を拡大してきた「独身の日」のセールですが、ことしはIT業界に対する“逆風”の中での開催となっています。

習近平指導部が去年以降、影響力を増す巨大IT企業への締めつけを強めているためです。

中でもアリババグループは、去年10月に創業者のジャック・マー氏が金融当局を批判したあと、傘下の企業の株式上場が延期に追い込まれたほか、ことし4月には、独占禁止法に違反したとして、日本円でおよそ3000億円に上る罰金が科されました。

また、独身の日をめぐっても、去年のセールの際、直前にいったん値上げしてから値下げをすることで、割引額を大きく見せかける行為などがあったとして、政府がアリババや京東の傘下の企業に罰金を科したほか、当局は今月、こうした不当な価格操作や虚偽の広告を行わないよう、各社に通知しています。

こうした中、消費者などからは、ことしも多くの商品を購入したという声がある一方で、値下げの幅が思ったほどでなく、例年のような盛り上がりがないという声も聞かれます。

アリババグループの本社がある浙江省杭州で話を聞くと、会社員の女性は「赤ちゃんの服などで、日本円で5万円くらい買い物をしました。ただ、セール期間が長くなっているせいもあるかもしれませんが、去年までと比べると盛り上がっている感じがしないです」と話していました。

また、ネット通販向けに衣類や雑貨などを出荷する業者が集まり、通称「ネット通販村」と呼ばれる浙江省義烏にある地区では、衣料品店の男性が「例年はすごく忙しいけど、ことしはセールだという感じがしない。去年と比べて売り上げは2割から3割ほど落ちているように思う」と話していました。