“10万円相当給付” 年収960万円の所得制限で自民と公明が合意

新型コロナウイルスの影響を受けた人たちへの支援策をめぐり、岸田総理大臣と公明党の山口代表が会談し、18歳以下を対象とする10万円相当の給付の実施にあたって、年収960万円の所得制限を設けることで合意しました。

新型コロナの影響を受けた人たちへの支援策をめぐり、自民・公明両党は、9日までの協議で、18歳以下を対象に、現金5万円と、子育て関連の支出などに使いみちを限定したクーポン5万円相当の、合わせて10万円相当の給付を実施することで合意しましたが、自民党が年収960万円の所得制限を設けるよう求めたのに対し、公明党は慎重な姿勢を示し、折り合いがついていませんでした。

こうした中、岸田総理大臣と公明党の山口代表が、10日午前11時半ごろから、総理大臣官邸で、およそ40分間、会談しました。

そして、山口代表は「所得制限を設けても、対象のほとんどをカバーでき、目的を達成できると判断した」として、年収960万円の所得制限を受け入れる考えを伝えました。

政府・自民党内では、年収960万円は、児童手当でも所得制限の基準の1つとなっていることから、給付の手続きが容易だという指摘があります。

また会談では、新型コロナで生活に困っている人への支援として、住民税が非課税となっている世帯を対象に、1世帯当たり現金10万円を給付するほか、学生への支援や、住居を確保するための給付金なども合わせ、1兆8000億円規模の支援策を講じることで合意しました。
さらに、マイナンバーカードの普及を図るための新たなポイントの付与をめぐっては、最大2万円分を3段階で付与することで一致しました。

具体的には、カードの取得時に5000円分、そして、健康保険証としての利用を開始した際と、国からの給付金を受け取るための「公金受取口座」の登録をした際に、それぞれ7500円分を付与するとしています。

山口代表 “合意 与党の見識”

山口代表は、岸田総理大臣と会談したあと記者団に対し「19日を最終決着として、多岐にわたる経済対策を策定するため、スピード感を持って検討してきた。両党の主張が違うところで合意をつくるのが与党の見識だ。選挙中から主張を鮮明にし、国民の関心も高かったので、熟度が高いところから出発できた」と述べました。

また、所得制限を設けることで合意したことについては、「児童手当の仕組みを活用すればスピーディーに給付ができ、対象世帯のほぼ9割が対象になるので、大きな分断にはつながらないと判断した」と述べました。

自民 茂木幹事長「消費の喚起につながっていくと思う」

自民党の茂木幹事長は記者団に対し、「短期間で合意に至ることができて非常によかった。年収960万円以上というと、かなりの高所得の世帯となり、大半の子どもたちに支給が行われる。18歳以下の子どもがいる家庭は、消費性向が高い世代で、消費の喚起にもつながっていくと思う」と述べました。

維新 馬場幹事長「所得制限 どういう政策効果得られるのか」

日本維新の会の馬場幹事長は記者会見で、「所得制限を設けることで、どういう政策効果が得られるのかわからない。見方によっては選挙のお礼をしているようにも見えるし、子どものための給付なのか、非常に疑問符がつく状態だ。大学生でも困窮している人もいるので、本来ならスポット的に救いの手を出していくことが政策目的にならなければいけない」と述べました。

共産 志位委員長「どういう形で具体化されるかよくみて判断」

共産党の志位委員長は、記者団に対し「どういう形で具体化されていくのかよくみながら、党としての対応を判断していきたい。共産党は持続化給付金と家賃支援給付金の第2弾を支給すべきだと強く求めてきた。また、コロナで収入が減った方を広く対象にして、1人10万円を基本に給付することを提案しているので、これを実現させたい」と述べました。

社民 福島党首「賛否はまだ決めていない」

社民党の福島党首は記者会見で、「給付は必要だと思うが、子どもも大人もたいへんな中、なぜ18歳以下なのかという疑問はある。また、所得制限については、親の収入で子どもへの支援を切ることになるのですべきでないと思う。社民党としては以前と同じく定額給付金10万円を再び支給すべきだと主張してきたので、与党が検討している案に対する賛否はまだ決めていない」と述べました。

10万円相当の給付 いくらかかる?

総務省の人口推計によりますと、おととし10月1日時点の18歳以下の人口は、1978万人余りです。

これに、自民党幹部が所得制限を設けても、カバーできるとしているおよそ9割を当てはめると、給付の対象は、およそ1780万人になります。

それぞれに10万円相当を給付しますから、関連の費用を除き、およそ1兆7800億円が必要になる計算です。