新型コロナ 新規感染者は“最低水準” 維持が重要 専門家会合

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、新規感染者数は去年の夏以降で最も低い水準が続き、改善している状態を維持することが重要だとしました。

年末に向けて忘年会やクリスマスなど恒例行事によって人との接触の機会が増えることに注意が必要だとして、ワクチンを接種した人でも飲食時以外はマスクを着用することなど、感染対策を続けるよう呼びかけました。

専門家会合は、全国の感染状況について、新規感染者数は去年の夏以降で最も低い水準が続き、亡くなる人の数も夏の感染拡大前の水準を下回ったとしています。

多くの地域で夜間の人出の増加が続き、クラスターの発生などが見られるところはあるものの、増加傾向が続いている地域は見られないとしています。

一方で、今後は気温の低下に伴って屋内での活動が増え、年末に向けて忘年会やクリスマス、正月休みなどの恒例行事で人と人との接触の機会が増えることが想定されるとして、感染が再び拡大することを見据えて現在の改善している状態を維持することが重要だとしました。

また、専門家会合は、ワクチン接種が先行する諸外国でも中和抗体の値の低下などで接種済みでも感染するブレイクスルー感染が起き感染の再拡大が発生しているとして、対策の緩和の際には注意し、追加接種に向けて検討するほか、ワクチンをまだ接種していない人に対して自治体から情報提供を進めることが必要だとしています。

さらに、一定のリスクの高い状況が重なると集団感染につながるおそれがあることを踏まえて、ワクチン接種を終えた人も含めて、飲食の際には感染対策の認証を受けた店を選び、飲食時以外はマスクを着用することなど、改めて一人ひとりが基本的な感染対策を続けるよう呼びかけました。

全国の新規感染者数 ことしに入って最も少ない水準続く

9日に行われた厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、新規感染者数は8日までの1週間では、前の週と比べて全国では0.76倍と減少し、ことしに入って最も少ない水準が続いていますが一部の地域で増加や横ばいになっているところもあります。

首都圏の1都3県では
▽東京都で0.91倍、
▽千葉県で1.07倍、
▽神奈川県で1.09倍と横ばいから増加となっている一方、
▽埼玉県で0.53倍と減少しています。

関西の2府1県では
▽大阪府で0.71倍、
▽京都府で0.68倍、
▽兵庫県で0.73倍と減少傾向が続いています。

中京圏では
▽愛知県で0.60倍、
▽三重県で0.74倍と減少している一方、
▽岐阜県では1.39倍と増加しています。

このほかの地域では、
▽福岡県は0.57倍、
▽沖縄県は0.83倍などと減少が続く一方、
▽北海道で1.28倍、
▽岡山県で1.69倍などと感染者の数自体は少ないものの、やや増加している地域も出てきています。

現在の感染状況を人口10万人当たりの直近1週間の感染者数でみると、最も多い
▽岡山県でも4.55人と5人を割り込み、
▽岐阜県が3.93人、
▽沖縄県が3.37人、
▽大阪府が2.66人、
▽東京都が1.08人などとなっていて、
▽全国では1.05人でした。

脇田座長「自治体と協力し、次の感染拡大に備えた対策検討」

厚生労働省の専門家会合のあとの記者会見で脇田隆字 座長は政府の分科会が新たに示した5段階のレベルについて「医療資源は自治体によってかなり違っているので、新しい指標はそれぞれの医療資源に合わせて自治体が決めることになっている。これまでのように全国一律ではない。当面は、過去のデータを活用しながら、これまでの感染拡大をこの指標に当てはめるとどうなるのかということを自治体が検証する時間だと思う。われわれも自治体と協力して検証を行い、次の感染拡大に備えた対策を検討していく」と話していました。

また、水際対策の緩和については「会合ではどういったリスク分析をして緩和したのかという議論があったが、事務局からはそれぞれ相手国の感染状況と変異株の状況を検討して対応を決めているという説明があった。専門家の間でも完全に鎖国をすることはできないので、どうリスクを下げながら海外との交流を進めていくのか検討することが必要だ。変異株の動向や海外からの持ち込み対策をしっかりやる必要がある」と話していました。