“18歳以下に10万円相当”給付合意 コロナ支援策めぐる議論は

新型コロナの影響を受けた人たちへの支援策をめぐり、自民・公明両党は18歳以下を対象に現金とクーポンを組み合わせて10万円相当の給付を実施することで合意しました。

「子育てにお金がかかるのでとてもありがたい」
「お金をばらまくのは簡単だ」
「生活に困っているのは子育て世帯だけではない」

街の人からはこうした声が聞かれました。
支援策をめぐる最新の情報をまとめました。

岸田首相“現金給付など支援策 19日に取りまとめ”

岸田総理大臣は自民党の役員会で、政府の新たな経済対策について「公明党との調整を急ぎ来週19日に取りまとめたい。今月中には補正予算案を策定したい」と述べ、新型コロナウイルスの影響を受けた人たちへの現金などの給付をはじめとする支援策について、与党内の調整を進めたうえで来週19日に取りまとめる考えを示しました。

公明“18歳以下一律に” 自民“年収960万円軸に所得制限”

この支援策をめぐって
▽公明党が18歳以下に一律で10万円相当を給付するよう求めているのに対し
▽自民党は理解を示す一方で年収960万円を軸に所得制限を設けることなどを提案していました。

公明 山口代表「親の所得で分断するのは望ましくない」

公明党の山口代表は9日の記者会見で「それぞれの主張が示されたので協議を煮詰めて合意形成を図っていきたい。国民に理解されるよう協議が進むことを期待している」と述べたうえで「親の所得で分断するのは望ましくないというのが基本的な考え方だ。一律に給付すればスピード感がある。自民党にも理解してもらいたい」と述べ、所得制限を設けることに慎重な考えを示しました。

自民 茂木幹事長「1つの考え方だが…」

自民党の茂木幹事長は記者会見で「子どもに対する支援は自民党としても極めて重要だと思っており、18歳以下への10万円相当の支援は1つの考え方だ。一方でコロナ禍で困窮している非正規で働く人や学生などへの手厚い支援も重要だ。二者択一という問題ではなく互いに重要性は認め合っているわけで、これをどう組み合わせていくか協議したい」と述べました。

自民 福田総務会長「所得制限があってもいい」

自民党の福田総務会長は記者会見で「ワイズスペンディングという観点からも所得制限があってもいいのではないか。税金は困っている人に差し上げ、成長すべき分野に配分するのが自民党の考え方だ。自民・公明両党で考え方に違う部分があるが、どう組み合わせるかが22年間の自公政権の知恵だ」と述べました。

自公幹事長協議で合意 現金5万円+5万円相当クーポン

自民党の茂木幹事長と公明党の石井幹事長は8日に続いて9日午後、2回目の協議を行いました。
公明党が主張している18歳以下への10万円相当の給付について
▽年内に現金で5万円を給付するとともに
▽来年春ごろに子育て関連の支出などに使いみちを限定した5万円相当のクーポンを配布することで合意しました。

所得制限は引き続き協議

一方、自民党が富裕層を含めた一律給付には慎重であるべきだとして年収960万円の所得制限を設けるよう改めて求めたのに対し、公明党は持ち帰って検討する考えを伝え引き続き協議することになりました。

自民党幹部は「年収960万円の所得制限を設けても18歳以下の子どもがいる世帯のおよそ9割をカバーできるうえ、児童手当でも所得制限の基準の1つとなっているため手続きに時間をかけずに対応できる」としています。

街の人からは…

「子育てにはお金がかかるので給付してもらえるのはとてもありがたく、習い事などに充てたい。年収1000万の人でも税金で取られたらかなり減ってしまうので所得制限の線引きはやめてほしい」(30代女性 6歳と1歳の子ども持つ)

「お金をばらまくのはすごく簡単だが永続的ではない。本当に必要ではない人のところにまで届いてしまうので、もっと支援が必要な人に対する根本的な政策をしてほしい」(70代女性)

「生活に困っているのは子どもや子育て世帯だけではないと思うので、支援をさらに検討してほしい」(19歳 男子大学生)

子育て支援団体「有効だが中長期的な支援も必要」

全国で子育て支援を行うNPO法人「フローレンス」の駒崎弘樹代表理事は「いま困っている子育て世代を助けるために現金給付は有効だ」と話しています。

そのうえで「過去に行われた現金給付はスピードが遅くなかなか届かないという問題があった。また夫から暴力を受けて避難している女性の家庭の場合夫に給付されてしまうなど『届かない世帯』もあるので、本当に困っている世帯に給付金が届くよう十分に配慮が必要だ」と指摘しました。

さらに「現金給付だけでなく中長期的な支援として必要なすべての子どもが保育園に通える体制を整えるなどの施策が重要で、こうした施策がなければ一過性の支援で終わってしまう。あしたの食べ物も手に入らないという世帯がたくさんあるので一刻も早く現金給付を行ったうえで、中長期的な支援も並行して進めてもらうようお願いしたい」と話していました。

生活に困っている人 “住民税非課税世帯に現金10万円給付”

一方、9日の自民・公明両党の幹事長協議では、自民党が選挙公約に盛り込んだ新型コロナで生活に困っている人への支援策について、住民税が非課税となっている世帯を対象に18歳以下への給付とは別に1世帯当たり現金10万円を給付することなどで一致しました。

マイナンバーカード 新たなポイント付与

さらに公明党が主張していたマイナンバーカードへの新たなポイントの付与については、カードを取得した際や健康保険証としての利用を始めるなどの段階に応じて複数回に分けて付与することを確認し、額については引き続き調整することになりました。

岸田首相「早急に合意を」

茂木幹事長は公明党の石井幹事長との協議のあと総理大臣官邸で岸田総理大臣と会談し「完全に一致はしていないが、かなり歩み寄りはみられる」などと協議の経過を報告しました。これに対し岸田総理大臣は「早急に合意できるよう、さらに頑張ってもらいたい」と指示しました。