ワクチン3回目接種 専門家「12~1月に接種進めることが重要」

新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種について、新型コロナ対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は「ワクチンを接種して6か月から8か月たつと、どうしても抗体価が下がってブレイクスルー感染を起こしやすく、接種が早く進んだ国から再増加の傾向が見られ始めている。あしたの日本を見ているような現象だと考えておかなければいけない。日本でも12月から1月にかけて、最初の接種から6か月、8か月たつ人が増え、リバウンドを起こす可能性があるので、3回目の接種を進めることは大事な方向性になる」と話しています。

また、3回目の接種に際してどのような人を優先するかについては、「高齢者や基礎疾患のある人たちがブレイクスルー感染を起こしてしまうと、一定の割合で重症化することが、今海外で見られている。日本でも12月、1月にかけて、必要な人たちに追加の接種をしっかり進めていくことが重要になる」と話しています。

追加接種でどのワクチンを打つかについて、アメリカの国立衛生研究所は、458人を対象にした臨床試験の結果を先月示し、どのワクチンの接種を完了した人でも、ファイザーやモデルナのワクチンの追加接種を受けた場合、2週間後には、従来の新型コロナウイルスに対する中和抗体の値が10倍から30倍程度になっていて、免疫の反応が強化されることが示唆されるとしています。

舘田教授は「接種するワクチンを2回目までと同じにするという形になると、接種の現場は非常に大変だし、打ちそびれてしまうことも考えられる。2回目と3回目のワクチンを変えることで、今のところ、大きな有効性の低下は報告されておらず、必要な人に3回目の接種を進めることが大事になってくる。また、副反応は2回目の接種と同じか、少し軽いという報告も見られていて、3回目だからということで、特別に心配することはいらないと思う」と話しています。

イスラエル 3回目で異なるワクチン接種も認める

中東のイスラエルでは、去年12月から新型コロナウイルスのワクチン接種が始まり、世界的に速いペースで接種が進みました。

イスラエルは、930万の人口のうち、およそ3割が17歳以下ですが、これまでに人口の61%にあたる573万人が2度の接種を終えています。

イスラエル政府はことし8月、2回目の接種から5か月以上が経過している60歳以上への3回目のワクチン接種を始め、その後は順次、対象年齢が引き下げられ、現在は12歳以上の人たちが対象となっています。

今月3日までに、2回の接種を受けた人のうち、69%にあたる396万人が3回目の接種を終えています。

3回目の接種は、公的保険制度を担う機関が運営する診療所や、自治体が運営する接種会場で行われていて、1回目、2回目と同様にファイザーのワクチンが使われているケースがほとんどですが、3回目で異なるワクチンを接種することも認められています。

イスラエルでは、ワクチンの接種が進んだあと、ことし6月には一時、一日の新規感染者が1桁台にまで減りましたが、感染力の強い変異ウイルスの拡大で再び感染者が増加し、8月から9月にかけては1万人を超えました。

ただ、その後、感染者は減少していて、現在は1週間の平均で500人台になっています。

アメリカ 3回目接種は65歳以上と重症化リスクの高い人などに

アメリカでは、新型コロナウイルスのワクチンの効果を高めるための追加接種、いわゆる「ブースター接種」が、ファイザーのワクチンについてはことし9月から、モデルナとジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンについては、先月から開始されました。

ファイザーとモデルナの3回目の接種の対象となるのは、65歳以上のすべての人と、18歳以上の人のうち、長期介護施設の入居者や、重症化するリスクの高い基礎疾患のある人、感染するリスクの高い職業の人などとなっています。

これら2社のワクチンは、2回目の接種から少なくとも6か月たてば3回目の接種が可能になりますが、モデルナのワクチンは、これまでの半分の量が接種されます。

一方、ジョンソン・エンド・ジョンソンの場合、接種から2か月たった18歳以上のすべての人が対象となっています。

また、追加の接種では、最初に接種したワクチンとは違う種類を接種することも可能になっています。

アメリカでは、免疫不全の人や臓器移植を受けた人などを含め、これまでに2000万人以上が追加の接種を受けています。