大量の軽石漂着 国交省が回収技術検討 今月中に取りまとめへ

沖縄県と鹿児島県の沿岸に大量の軽石が漂着していることを受けて、国土交通省は海洋土木工事の有識者などと効果的な回収技術を検討する会議を開きました。
11月中に検討結果を取りまとめ、沿岸の自治体と共有大量の軽石が漂着することにしています。

沖縄県や鹿児島県では、10月中旬から海岸や港に大量の軽石が漂着し、船の航行ができなくなるなど漁業や住民の生活に影響が出ていますが、専用の機材などがなく、回収は試行錯誤が続いています。

5日、漁港を除く、貨物船が接岸する港を管轄する国土交通省は、軽石を回収する技術を検討する会議を開き、海洋土木工事の建設会社で作る協会や国の研究機関の担当者などが出席しました。
はじめに国土交通省の浅輪宇充港湾局長が「今後、本州でも軽石が漂着するおそれがあり、広域的な対応に備えておく必要がある」と述べました。
会議はこのあと非公開で行われ、この中で現地の作業の実例として、水と一緒に浮遊物を吸い込むポンプでは、回収した水に含まれる軽石の量が全体の2%ほどにとどまり、バックホウやたも網を使った方が同じ時間で多くの量を回収できることなどが示されました。
参加者からは、岸壁からか船からかなど、どこから回収するかによってより適切な回収方法が異なるのではないかという意見や、現地の試行錯誤の過程は参考になるので細かく事例を集めて欲しいという意見が出たということです。

国土交通省は今月中に検討結果を取りまとめ、沖縄県や鹿児島県のほか、今後漂着するおそれがある沿岸自治体と共有することにしています。

海上保安庁 6つのエリアで漂流・漂着を確認

海上保安庁は、航空機によるパトロールに合わせて軽石の状況を確認しています。

5日までに大きく分けて、
沖縄県の▽沖縄本島の南西の沖合、▽沖縄本島周辺、
鹿児島県の▽徳之島周辺、▽奄美大島周辺、
▽高知県の南の沖合、
▽噴火した福徳岡ノ場周辺の
6つのエリアで漂流や漂着を確認したということです。

また、日本の沖合の太平洋を西から東に流れる「黒潮」と呼ばれる非常に強い海流は、沿岸をまっすぐに進む直進型と、大きくう回する蛇行型があり、海上保安庁によりますと最近は蛇行型で流れていて、この先も同じ流れが続くとみられています。

速いところでは秒速2メートルを超える流れになっていて、軽石が黒潮に乗って今後、関東の沖合を漂流する可能性もあるということで、海上保安庁は船の利用者に対し、漂流情報の確認と、エンジンの冷却用にくみ上げた海水から不純物を取り除く「海水こし器」の定期的な確認などを呼びかけています。

各地の被害状況

内閣官房が各省庁からの情報でとりまとめた、4日までの軽石による被害の状況です。

漁港 46か所で漂着確認

漁港については沖縄県で34か所、鹿児島県で12か所の合わせて46か所で軽石の漂着が確認されています。

このうち、39の漁港は影響が軽微か漂着が解消済みですが、沖縄県の6か所、鹿児島県の1か所の合わせて7か所で漁船の出入りに支障があり、軽石の回収作業が進められています。

漁船 42隻がエンジントラブル

漁船については、これまでに合わせて42隻が軽石がつまってエンジントラブルを起こす被害を受け、このうち6隻が航行不能になったということです。

港湾 35か所で漂着確認

漁港を除く貨物船が接岸する港では、鹿児島県で21か所、沖縄県で14か所の合わせて35か所で軽石の漂着が確認されています。
12の港は影響が軽微か、漂着が解消済みですが、沖縄県の12か所、鹿児島県の11か所の合わせて23か所で軽石の回収作業が進められています。
このうち、鹿児島県の与論島の与論港では、島に石油を運ぶタンカーが10月25日に入ろうとしましたが、軽石が岸壁に漂流していたため入港を断念したということです。
島内には12月上旬くらいまでの石油の備蓄があるということで、国土交通省が海面を清掃する船を現地に向かわせるなど、対応を急いでいます。

海岸 173か所で漂着確認

海岸については、沖縄県の17市町村の83か所と、鹿児島県の12市町村の90か所の合わせて173か所で軽石の漂着が確認されています。

各県から報告された推計量で、沖縄県の漂着量はおよそ15万立方メートル、鹿児島県の漂着量はおよそ5000トンにのぼるということで、環境省は自治体が海岸の漂着物を回収する費用を補助する制度を、軽石の回収にも適用することを決めています。