欧州などの一部でワクチン接種遅れ WHO“あらゆる取り組みを”

WHO=世界保健機関は、ヨーロッパや中央アジアの一部の国で新型コロナウイルスのワクチンの接種が遅れていて、このままの状況が続けば来年2月までにさらに50万人が犠牲になるおそれがあるとして、ワクチン接種を加速させるよう呼びかけています。

WHOヨーロッパ地域事務局は4日、管轄するヨーロッパとロシア、中央アジアなど53か国で先週確認された感染者の数は6%、死者の数は12%、いずれも前の週よりも増加したと発表しました。

WHOヨーロッパ地域事務局のクルーゲ事務局長は、管轄する地域について「再びパンデミックの中心地になった」と述べ、強い懸念を示しました。

これらの地域ではワクチンの接種率が高い国がある一方、地域全体で接種を終えた人の割合は人口の47%となっていて、特にバルト諸国や東ヨーロッパの国々などで低い水準となっています。

WHOは、このままの感染状況が続けば来年2月までにさらに50万人が犠牲になるおそれがあるとして、各国に対してワクチン接種のペースを加速させるためあらゆる取り組みを行うよう呼びかけています。

ドイツ 1日の新規感染者数が最多に

ドイツで感染症対策にあたる政府の研究機関は5日、ドイツ国内の新型コロナウイルスの新規感染者が3万7120人に上ったと発表しました。

去年春に感染が拡大して以降、1日の感染者数としては最も多く、2日連続で過去最多を更新しました。
亡くなった人の数は154人となっています。

ドイツでワクチンの接種を終えた人の割合は人口の66.9%で、ワクチンの接種に消極的な人もいて、このところ接種率が伸び悩んでいます。

感染が再び拡大するなか、集中治療室で手当てを受ける患者も多くなっていてシュパーン保健相が「第4波が本格的に到来した」と述べるなど、ドイツ政府は危機感を強めています。

ロシア 1日の死者が最多に

ロシアでは、新型コロナウイルスの1日あたりの感染者の数が、政府の発表でこのところおよそ4万人に上っているうえ、4日には1日の死者がこれまでで最も多い1195人となりました。

ロシア政府によりますと、子どもが感染して亡くなるケースも増えているほか、一部の地方都市では病床の使用率が90%以上になるなど医療体制のひっ迫が伝えられているということで、政府内で危機感が広がっています。

ロシアでは新型ウイルスの感染拡大を防ぐため、11月7日までを企業などの休業日に定めていて、プーチン大統領は人口の3割程度にとどまっているワクチンの接種を国民に強く呼びかけています。