5人殺傷事件で無罪判決 「心神喪失だった疑いが残る」神戸地裁

4年前、神戸市で祖父母と近所の女性の3人を殺害し、母親など2人に大けがをさせたとして、殺人などの罪に問われた、30歳の被告に対し、神戸地方裁判所は「事件当時、被告は心神喪失の状態だった疑いが残る」として、無罪を言い渡しました。

無罪が言い渡されたのは30歳の被告です。

被告は平成29年7月、神戸市北区の自宅などで、いずれも83歳の祖父と祖母、それに近所の79歳の女性を包丁で刺すなどして殺害し、母親や別の近所の女性にも大けがをさせたとして、殺人などの罪に問われていました。

裁判で被告は、5人を襲ったことを認めましたが、弁護側は当時、精神疾患の影響で責任能力がなかったとして無罪を主張し、検察は無期懲役を求刑していました。

4日の判決で、神戸地方裁判所の飯島健太郎裁判長は「妄想などの精神障害の圧倒的な影響下で犯行に及んだと考えられ、事件当時、被告は心神喪失の状態だった疑いが残る」と述べて、無罪を言い渡しました。

被告の弁護士「裁判員と裁判官が判断したこと」

無罪判決について、被告の弁護士は「裁判員と裁判官が判断したことです。弁護人としてやるべきことはやったので、われわれは従うだけです」と話していました。

神戸地検「判決内容を検討 適切に対応したい」

無罪判決について、神戸地方検察庁の山下裕之次席検事は「判決内容をよく検討し、上級庁とも協議のうえ、適切に対応したい」とコメントしています。

裁判員「協議を重ねた結果、このような結果に」

判決のあと、裁判員と補充裁判員を務めた2人が会見を行いました。

40代の会社員の男性は「ご遺族や被害者には納得のいかない判決になったと思いますが、協議を重ねた結果、法律に基づきこのような結果になりました」と話していました。

補充裁判員を務めた30代の会社員の男性は「精神疾患はほかの人からは見えないからこそ判断が難しく、鑑定した医師の結果も違ってきたのだと思います。公判を通じて得られた情報や自分の常識をもとに、ずっと考え続ける裁判でした」と話していました。

遺族「ただただ絶望 責任能力の制度と運用見直すきっかけに」

無罪判決について、近所に住んでいて事件で亡くなった、辻やゑ子さんの長女と長男は「判決を聞き、ただただ絶望しています。何の罪もない3人が命を奪われたのに、到底納得がいきません。私たちと同じような思いをする人がいなくなるよう、責任能力という制度と運用を見直すきっかけにしてほしいです」などとコメントしています。