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ワクチン接種で入国規制を緩和 進む諸外国 日本はどうする

欧米などでワクチンを接種した人に対する水際対策の緩和が進む中、経済界の間では、日本でもさらなる緩和が進まなければビジネスで出遅れるとして、早期の対応を政府に求めています。
政府は、ビジネス目的の入国者を対象に、企業が行動を管理することや、日本国内で承認されたワクチンを接種しているなど、一定の条件のもと、自宅などでの10日間の待機期間を、原則3日間に短縮する方針を固めています。

ただ、海外の水際対策の現状を見ると、
▽アメリカでは、ワクチンの接種を完了している場合、空港到着後の検査で陽性とならなければ、隔離は求められません。
また、
▽ドイツとフランスでは、日本から入国する場合、ワクチンの接種証明か検査の陰性証明などがあれば、隔離は免除されていて、
日本は、諸外国に比べると依然、厳しい入国規制が残る形となっています。

これについて、経済界では「外務省の感染症危険情報が見直されるとともに、入国したあとの隔離が緩和されないと、海外への出張は難しい」などとして、海外の感染状況を踏まえたうえで、ワクチンを接種した人への隔離措置を免除すべきとしています。

また、日本国内で承認されたワクチンを接種した人しか入国できないとしていることについても、WHO=世界保健機関が認可したワクチンの場合には、同じような扱いをするよう求めています。

さらに、長時間に及ぶ入国手続きに課題があるとの指摘も、根強くあります。

現在、日本に入国する際は、
▽ワクチンの接種証明や、
▽出国前の72時間以内の陰性証明書、
▽隔離期間中のビデオ通話アプリのインストールなど、
事前に必要な書類や作業が数多くあります。

これに加えて、空港に到着してから、税関や検疫などの手続きを終えるまでに、
▽対面での書類チェックや、
▽アプリの動作確認、
▽ウイルス検査などで、
2時間から3時間ほどかかるという声があがっています。

これを受けて経団連は、来週にも公表する経済活動の正常化に向けた新たな提言で「デジタル技術を活用した入国管理手続きの簡素化や迅速化を早期に実現すべき」として、政府への働きかけを強めていく方針です。

日商 三村会頭 前向きに受け止める姿勢

政府による新型コロナウイルスの水際対策について、日本商工会議所の三村会頭は4日の定例会見で「日本は国際社会の中で存在しているので、国内で経済活動と感染対策を両立させるのと同じように、国内外の移動においても感染対策をきちんとしたうえで、観光やビジネスを目的とした入国を再開するべきだ」と述べました。

そのうえで、政府がビジネス目的の入国者を対象に、一定の条件で待機期間を短縮する方針を固めたことについては「諸外国の緩和の動きに合わせ、日本としても対策を講じるというのが基本的な考え方だ」として、前向きに受け止める姿勢を示しました。

住友商事 塩見CFO 「ビジネス往来緩和 事業にプラス」

政府がビジネス目的の入国者を対象に、一定の条件で待機期間を短縮する方針を固めたことについて、住友商事の塩見勝CFOは4日の決算会見で「いま、海外出張できるところには行くようになっているが、待機期間が短くなれば、ありがたいと思っている。ビジネス往来が緩和されれば、事業にも相当なプラスになる。政府は、感染を抑えながら、この方向を継続してほしい」と述べ、水際対策の緩和を歓迎する考えを示しました。

日本医師会 中川会長「水際対策の緩和は慎重にすべき」

日本医師会の中川会長は、記者会見で「新型コロナは、このまま一気に収束とはいかず、今後も増減を繰り返していく可能性がある。日本で感染が収束しているウイルスと、海外で再拡大しているウイルスが同じなのかわからない。待機の日数をやみくもに短くするわけではないだろうが、水際対策の緩和は慎重にすべきだ」と述べました。

アメリカ 今月8日から新たな措置で大幅制限緩和

アメリカでは今月8日から、新型コロナウイルスのワクチン接種の完了を条件に、外国人の入国を認める新たな措置が始まる予定で、これまでヨーロッパなど、多くの国からの入国が原則として禁止されていたことから、事実上の大幅な制限緩和となります。

新たな措置では、空路で入国する場合、
▽航空機に搭乗する前に、ワクチン接種から2週間以上が経過したことを証明する公的機関が発行した書類を提示するとともに、
▽出発前3日以内の検査で陰性であることが必要となります。

対象となるのは18歳以上で、WHO=世界保健機関か、アメリカFDA=食品医薬品局が認めているワクチンを接種していなければいけません。

18歳未満は接種義務の対象外で、出発前の陰性証明のみ求められます。

これまで日本からアメリカに渡航する場合は、検査で陰性が証明されれば入国できましたが、新たな措置ではワクチンの接種完了が義務づけられるため、入国の条件が厳しくなります。

一方で、ヨーロッパの多くの国や中国、インドなどを過去14日以内に訪れた外国人は、これまで原則としてアメリカへの入国が禁止されていたことから、今回の措置は事実上の大幅な制限緩和となっていて、冬の観光シーズンを前に、航空や観光業界から歓迎する声があがっています。

タイ 日本を含む63の国と地域対象に入国時隔離免除

東南アジアのタイでは、日本を含む63の国と地域の旅行者を対象に、今月から入国時の隔離を免除し、受け入れを本格的に再開しています。

タイで隔離が免除となるのは、
▽ワクチン接種を終えていることや、
▽事前にPCR検査で陰性が確認されていることなどが条件で、
到着後にもう1度検査を受ける必要もあります。

タイ政府は当初、隔離免除の対象について「少なくとも10か国」としていましたが、結局、大幅に拡大し、年末年始の観光需要が高まる時期に、より多くの観光客を受け入れようとしています。

大きな打撃を受けている観光業界の間では期待が高まっていて、首都バンコクにある寺院で、有数の観光地のワット・プラ・ケオも、今月から観光客への開放を再開しました。

ワット・プラ・ケオの近くで営業している三輪タクシー、トゥクトゥクの運転手の男性は「日本からもたくさんの観光客に来てもらいたい。タイの経済もよくなっていくはずだ」と話していました。

一方、タイでは、ことし8月に2万人を超えた一日当たりの新規感染者が、現在は8000人前後に減ったものの、感染拡大の懸念が続いています。

このため、バンコクなどでおよそ40のマッサージ店を運営する会社では、従業員に毎日、抗原検査を行うほか、利用客にも抗原検査を受けてもらったうえでマッサージを提供することにしました。

運営会社のナラン取締役は「利用者に信頼されるようになりたい。世界各国の観光客に戻ってきてもらうための準備はできている」と話していました。

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