障害のある受験生向けの大学案内 編集作業進む

障害のある受験生が大学などの入学試験を受ける際に、それぞれの特性に合わせてどのような配慮がされているかをまとめた本の編集作業が、神奈川県相模原市で進められています。

相模原市内のアパートの一室で来年1月の最新版の発行に向けて編集作業が進められているのは、障害がある受験生向けの大学案内で、これまでに12冊が出版されています。

大学案内には、障害がある受験生が入学試験を受ける際に通常より長く試験時間を設定しているかや、別の試験会場を設けているかなどの対応に加え、スロープや車いす用のトイレの有無などの設備面の情報や、入学後の支援体制など全国372の学校別にまとめて記載されています。

この本を作っているボランティア団体「全国障害学生支援センター」代表の殿岡翼さんは脳性麻痺があり、体を自由に動かすことが難しく、障害者が学び続けられる環境が整っていないと感じていました。

こうしたみずからの経験を踏まえ、目の不自由な妻の栄子さんを含めて障害のあるスタッフ合わせて20人ほどで大学案内を作っています。

全国各地の800余りの大学などに質問を送って、返ってきた回答を栄子さんがパソコンの自動読み上げ機能を使って素早く聞きながら確認しています。

そして、回答で分かりづらい部分は大学側にさらに問い合わせるなど、具体的で利用しやすい情報の収集に努めています。

栄子さんは「障害がある受験生は、配慮があることで初めて本来の能力を発揮することができるので、大学がどういった配慮をしているのか正確な情報を伝える必要がある」と話していました。

大学案内は全国各地の高校や特別支援学校などで販売されていて、実際にこの本を活用して大学に入学し、卒業後に団体のスタッフとして働いている人もいます。

スタッフの宮地めぐみさんは「当時は情報がほとんどなく、この本がなかったら受験はうまくいかなかったと思います。自分と同じように不安を抱えながら受験する人たちの少しでも役に立ちたいと思い、活動に加わりました」と話していました。

団体によりますと、大学側は少しずつ配慮するようになってきているものの、情報収集のために送った質問への回答は半数に満たないなど課題も多く、今後も調査を続けることで大学側の意識を変えていきたいと考えています。

「全国障害学生支援センター」代表の殿岡翼さんは「学ぶことと生きることは密接につながっているので、障害者の大学受験に関する壁を少しずつ取り除き、誰もが学び、よりよく生きられる社会になってほしい」と話していました。