“無症状の4人に1人が肺炎に” コロナ感染者を追跡調査 和歌山

新型コロナウイルスの陽性者をすべて入院させる措置をとっている和歌山県が第5波までの県内の感染者5000人余りを追跡調査した結果、検査の時点で無症状だった人の4人に1人がその後、肺炎になっていたことがわかりました。県は無症状でも容体の変化に早期に対応できる態勢づくりが必要だとしています。

和歌山県は新型コロナウイルスの陽性者に対して全国で唯一全員を入院させる措置を続けていて、第5波までに県内の病院に入院した5169人の追跡調査を行いました。

その結果、検査の時点で無症状だった人は1199人いましたが、このうち4人に1人に当たる331人がその後容体が悪化し、肺炎と診断されていたことが分かりました。

さらに肺炎になった人のうち76人は酸素の投与が必要となるなど中等症以上で、20人が死亡したということです。

県は変異ウイルスの影響などもあり当初は無症状でも容体が急速に悪化する危険性が示されたとして、容体の変化を早期に発見し対応できる態勢作りが必要だとしています。

コロナ対策を統括する和歌山県の野尻孝子技監は「これから想定される6波に向けて診断時に無症状だからと油断せず、患者の重症化と感染拡大を防ぐため早い段階から保健所や医療が関わっていくことが重要だ」と話しています。

「症状の変化を把握できる態勢づくりなどが必要」

和歌山県は全国で唯一新型コロナウイルスの陽性者をすべて入院させる措置を続けていて、無症状や軽症者を含めたすべての患者について病状の変化を追跡したデータを感染対策に活用しています。

今回の結果について和歌山県の野尻孝子技監は「最初に無症状でもそのまま経過するわけでなく5日から1週間で肺炎を合併して急に悪くなる。そういうことがあるので安心はできないということが網羅的なデータから浮かび上がってきた」と話しています。

そのうえで検査の際に無症状で自宅療養となった場合でも症状が悪化することを想定し、感染者側からの訴えを待つのではなく保健所側からも積極的に感染者に接触して症状の変化を把握できる態勢づくりやコロナ病床の拡充を進める必要があると指摘しました。

また第6波に向けた注意点として、野尻技監は「ワクチンを2回接種した人が増えると無症状者や軽症の陽性者が増える可能性がある。無症状の人から医療機関や高齢者施設に持ち込まれて集団感染が起きるリスクも見据えて対応していくべきだ」と、注意を呼びかけています。