ロシア 一日の感染者4万人超 首都で活動制限前倒し 新型コロナ

ロシアでは、新型コロナウイルスの一日当たりの感染者数が初めて4万人を超えるなど、感染拡大に歯止めがかかっていません。首都モスクワでは生活必需品を扱う店以外の営業の停止など、経済活動を大幅に制限する措置が始まりました。

ロシアでは、新型コロナウイルスの感染が再び拡大していて、28日には、1日当たりの感染者数が初めて4万人を超えたほか、死者数も1159人とこれまでで最も多くなっています。

プーチン大統領は先週、ロシア全土で今月30日から9日間を企業などの休業日に定め、市民に不要不急の外出を控えるよう呼びかけていましたが、感染者が最も多い首都モスクワでは開始を2日早め、28日から経済活動を大幅に制限する措置が始まりました。

モスクワ市内では、食料など生活必需品を扱う店以外の営業が停止され、飲食店は持ち帰りと宅配のみとなり、ショッピングモールでも多くの店が休業となり、人通りが少なくなっていました。

ショッピングモールの経営者は「店舗の売り上げは間違いなく減るだろう。厳しい時が早く終わることを願っている」と話していました。

また、市民からは「こうした規制は必要だ。若者たちは、地下鉄でもマスクを着用していない」と言う声や、「休みにしても意味があるとは思えない。給料も減ってしまい大変だ」という声も聞かれました。

接種を済ませた人 人口の3割程度にとどまる

ロシアでは、自国製ワクチンへの不信感などから、接種を済ませた人は人口の3割程度にとどまり、政府は危機感を強めていて、市民に接種を呼びかけるとともに感染の拡大に歯止めがかからなければ、制限の期間を延長する可能性も示しています。

各国 ワクチン接種率は

新型コロナウイルスの感染対策として各国でワクチンの接種が進んでいます。

イギリス・オックスフォード大学の研究者などが運営するサイト「アワ・ワールド・イン・データ」によりますと、ワクチンの接種を完了した人の人口に占める割合が70%を超えている主な国を見ますと、今月27日の時点で、
▽スペインが79.72%、
▽カナダが73.93%、
▽中国が73.92%、
▽韓国が72.06%、
▽イタリアが71.11%、
▽日本が70.89%などとなっています。

一方、70%に満たない国のうち、
▼アメリカは56.79%、
▼イギリスは66.86%、
▼イスラエルは65.11%、
▼ロシアは32.83%などとなっています。

一日当たりの感染者数 各国で減少傾向が続く中 ロシアでは

また、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学のまとめによりますと、これらの国の一日当たりの感染者数は、27日時点で
▽スペインが2532人で、6万人を超えたことし7月以降は減少傾向が続いています。

▽中国は44人で、これまで厳重な対策で感染を封じ込めてきたにもかかわらず、このところ感染者は再び増える傾向にあります。

▽カナダは2541人で1万1000人を超えた先月のピーク時から減少傾向となっています。

▽韓国は2107人で、3000人を超えていた先月のピーク時からはやや減っています。

▽イタリアは4595人で、ピークだった去年11月の4万人余りに比べて大きく減っていますが、ここ最近は、ほぼ横ばいです。

▽アメリカは7万6957人で先月上旬に27万人を超えて以降は減少傾向が続いています。

▽イギリスは4万3922人でことし1月のピーク時からいったん大きく減りましたが、この夏以降、再び増えてこのところ、高止まりとなっています。

▽イスラエルは599人で、先月のピーク時以降、減少傾向が続いています。

▽一方、ロシアは政府の発表で、28日に4万96人となり、先月中旬以降、増加傾向が続いています。

ワクチン接種証明提示の義務化 各国の現状は

海外では、経済活動を維持しながら感染を抑制するため、飲食店などの入店時にスマートフォンなどを見せてワクチンの接種証明を提示するよう義務づける措置が広がっています。

▽スペインは、カタルーニャ州など一部の州で、夜の時間帯にナイトクラブやバーを利用する人などに対し接種証明の提示を義務づけています。

▽中国は、感染リスクがないことを示す「健康コード」と呼ばれるスマートフォンを使ったシステムが各地で導入され、ワクチンの接種記録も表示されますが、今のところ、飲食店などでの提示は義務づけられていません。

▽韓国は、来月からカラオケ店や入浴施設などを利用する際の接種証明の導入を検討しています。

▽イタリアは、全国一律で飲食店の入店時や長距離の交通機関を利用する場合などに、接種証明の提示が義務づけられています。

▽アメリカは、ニューヨーク市などで屋内の飲食店や劇場などの施設で接種証明の提示が義務づけられている一方、南部フロリダ州では飲食店などがワクチン接種の証明を求めること自体が禁止されるなど、地域によって対応が大きく異なります。

▽イギリスでは、スコットランドやウェールズでナイトクラブなどの入店時に接種証明の提示が必要ですが、首都ロンドンのあるイングランドでは接種証明の義務化は見送られています。

▽世界的に速いペースでワクチン接種が進んだイスラエルでは、レストランやイベント会場などでの接種証明の提示も早くから義務づけられてきました。
さらに今月からは、2回目の接種後、6か月以上が経過した人は、3回目の接種証明や陰性証明を提示することが新たに義務づけられました。

▽ロシアは、首都モスクワなどで、劇場や美術館への入場や大規模な文化イベントへの参加などの際に、接種証明の提示が義務づけられています。
残りの地域でも来月以降、義務化される見通しです。