大量の軽石 沖縄などで漁業に深刻な被害 旅客船に影響も

小笠原諸島の海底火山の噴火に伴う軽石が、沖縄や奄美の海岸に大量に漂着して問題となる中、鹿児島県の沖永良部島でも確認され、漁業者らが回収作業に追われています。
また大量に押し寄せる軽石によって、沖縄県内の漁業に深刻な被害が出ているほか、沖縄本島と離島を結ぶ旅客船の運航に影響が出ています。

軽石は小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」が、ことし8月に噴火した際に噴出したもので、沖縄本島や奄美大島など南西諸島の一部に相次いで流れ着いているのが確認されています。

数日前からは沖永良部島でも軽石が見られるようになり、27日は漁業者らが漁業用の網やパワーショベルを使って回収作業にあたりました。

沖永良部島漁業協同組合によりますと、6時間の作業でおよそ25トンを回収したということです。

また、今のところ漁への支障は出ていませんが、漁業者の間では来月1日に解禁されるソデイカ漁の際に、船のエンジンに軽石が詰まってトラブルが発生しないか、心配する声が上がっているということです。

沖永良部島漁業協同組合の山下安富 副組合長は「海水を吸い込んでエンジンを冷やすので、夜間に軽石を吸い込んでオーバーヒートするのが怖いです。どの程度、沖に軽石があるのかも分からないし、いつ終わるのか分からず不安です」と話していました。

沖縄本島北部の漁港や沖合で大量の軽石を確認

28日、NHKのヘリコプターから撮影した映像では、沖縄本島北部の東海岸などに大量の軽石が漂着している様子が確認できました。

沖縄本島の最も北に位置する国頭村では沖合に帯状になった軽石が漂流し、複数の港に軽石が漂着しているのが確認できました。

このうち安田漁港には大量の軽石が漂着していて、漁港の関係者が岸壁から網を使って手作業ですくい取っていました。

また、奥港にも大量の軽石が漂着していて、この地区を流れる奥川の上流まで軽石が流れ込み、一面、灰色になっていました。

このほか、沖縄本島中部のうるま市の宮城島にある池味漁港に設置された複数の生けすの中に軽石が入り込んでいる様子が確認できました。

沖縄 漁業に深刻な被害

大量に押し寄せる軽石によって、沖縄県内の漁業に深刻な被害が出ています。

このうち、もずくの生産量全国1位を誇るうるま市では、軽石の影響で養殖作業がストップしています。

毎年この時期は水槽の中でもずくを種付けし、海の中に移す作業が行われていますが、軽石が沖合に漂流してきた10月中旬から船を出せずにいるということです。

水槽では、出荷できる状態まで成長しないということで、この状況が長期化すると、生産量に影響が出る可能性があるということです。

養殖業者の40代の男性は「コロナが収束したと思ったらこういう状況なので今後の生活への不安があります」と話していました。

毎年1万トン前後のもずくの生産量がある勝連漁業協同組合の玉城謙栄さんは「早めに対策をしたいが、どのようにしたらいいのか検討もつかないので対策のしようがないです。自然にまかせるしかないです」と話していました。

また、うるま市の宮城島の池味漁港では漂着した軽石の影響で、生けすで養殖していた「スギ」などおよそ500匹の魚が死にました。

水質の悪化による酸欠や軽石がエラに入り込んで呼吸が困難になったことが原因とみられるということです。

60代の漁業者の男性によりますと、生けすで養殖していた魚は11月上旬に出荷する予定だったということで被害額はおよそ300万円ほどにのぼるということです。

離島を結ぶ旅客船が運休

沖縄本島各地に漂着している軽石によって、沖縄本島と離島を結ぶ旅客船の運航に影響が出ています。

南城市の安座真港と久高島を結ぶフェリーと高速船を運航する「久高海運」は、久高島の港に大量の軽石が流れ込んでいるため28日午後3時以降のあわせて4便の運航を取りやめました。

これ以上運航を続けると、軽石を取り込み、エンジントラブルが起きる可能性があったためだということです。

28日の最終便となったフェリーでは午後2時すぎに安座真港に到着後、乗組員によって整備作業が行われ、エンジン冷却用の海水を取り込む装置のフィルターに複数の軽石が付着しているのが確認されました。

「久高海運」によりますと、2、3日前から軽石がフィルターに付着するようになったということです。

29日の運航については、港の状況などを確認した上で判断することにしています。

機関長の西銘武男さん(55)は「軽石が漂流する状態が続いてしまうと2、3日は船が出せないかもしれないです。船は島民の足であり病院に通う人にも影響が出てしまうので、国や市にはどうにかして軽石を撤去してもらいたいです」と話していました。

貨物船の離着岸港 国が復旧費用を補助

国土交通省港湾局によりますと、漁港を除く貨物船が離着岸する港に軽石が漂着したという自治体からの報告は26日までに、鹿児島県から19か所、沖縄県から9か所にのぼっているということです。

国の制度には災害で港湾機能に影響が出た場合に、管理する自治体が復旧を行った際の費用を補助するものがあり、国土交通省は今回の軽石によって貨物船が離着岸する港で航行への支障が出ている場合、制度を適用することを決めました。

制度が適用されると復旧にかかる費用の最大80%が、国から補助されるということです。