“時短要請”解除 期待の一方 忘・新年会は約7割で開催せず?

東京都や大阪府などで飲食店への時短要請が解除され、飲食店などでは通常営業に向けた準備が進められています。

飲食店やタクシー会社などからは今後に期待する声もあがる一方、今シーズンの忘年会と新年会について、およそ7割の企業が「開催しない」としているという調査もあり、経済活動の正常化への道筋は依然、不透明な状態です。

▽主な内容
・都内の居酒屋では
・人材サービス会社 飲食店からの問い合わせ約2倍に
・タクシー会社からは夜の利用増加を期待する声
・忘・新年会離れの動きも
・外食大手 分かれる対応

通常営業に向けて準備 都内の居酒屋チェーン

東京都や大阪府などで飲食店への時短要請が解除された25日、居酒屋チェーンの都内の店舗では通常営業に向けた準備が進められていました。

全国に168店舗を展開している居酒屋チェーン「つぼ八」の東京・台東区の店舗では、東京都の時短要請が解除されたことを受けて、これまで午後9時までとしていた営業時間を、25日からおよそ11か月ぶりに、元の午後11時半までに戻すことにしました。
開店前には、従業員が時短営業を知らせていた掲示物を通常の営業時間のものに貼り替えたり、客席に設置しているアクリル板を丁寧に拭いたりして、準備に追われていました。
「つぼ八浅草駅ビル店」の古屋裕希店長は、「通常営業になり率直にうれしいです。すぐにコロナ前の活気が戻るとは考えにくいが、今後は二次会などの需要も出てくると思うので、感染対策を取って、安心して食事ができる環境を作っていきたいです」と話していました。

この居酒屋チェーンでは時短要請の解除を受けて、多くの店で営業時間を通常の状態に戻す一方、感染拡大前に午前0時以降まで深夜営業を行っていた店の一部では、来店客の動向が見通しにくいとして、日付をまたぐ営業を当面、見送る対応をとっているということです。

人材サービス会社 飲食店からの問い合わせ ことしの春の約2倍

時短要請が全面解除され、東京都内の飲食店では人手の確保が課題となっています。
飲食業界を対象に人材サービスを行う会社には問い合わせが相次いでいます。

飲食業界に特化した求人サイトの運営や人材紹介などを行っている会社では、先月下旬から飲食店からの問い合わせが増え始め、ことしの春と比べるとおよそ2倍になっているということです。

25日も、海鮮丼を販売する店を首都圏を中心に展開している企業の採用担当者とオンラインでやりとりしました。

この企業では時短要請が解除されたことで外食する人が増えることを見込んで、新たな店舗を出す予定だということで、正社員として働いてくれる人を3人くらい採用したいと話していました。
「クックビズ」東京営業部の西坂直希部長は「飲食店からは『従業員が足りない』という声が多く寄せられており、採用意欲の高さを感じている。一方で、働けない期間が長かったことから別の仕事に転職した人も多い。今後、働き手を必要とする業界は増えると思うので、人手の確保は大変になると思う」と話していました。

飲食店での単発アルバイトの求人 先月比約1.8倍に

新型コロナの感染状況が今後どうなるのか見通せない中、単発アルバイトの求人が増えています。

短時間や単発のアルバイトをしたい人と企業などをつなぐサービスを行っている「タイミー」によりますと、飲食店での接客や調理などの求人件数は今月に入って増加し、先月と比べておよそ1.8倍に増えているということです。

時短要請が全面解除された25日以降の求人はさらに増える傾向にあるということです。

また、この人材サービス会社が飲食店を含む事業者68社にアンケート調査を行ったところ、半数近い30の事業者が「人手の確保に困っている」と答えました。

「固定のアルバイトを雇えない」とか「またいつ宣言が出されるか分からないため安易に採用することができない」といった声も少なくなかったということです。

タクシー会社からは夜の利用増加を期待する声

東京都内で都の認証を受けた飲食店の時短要請が25日から解除されるのを受け、タクシー会社からは夜の利用の増加を期待する声が上がっています。

東京・荒川区のタクシー会社は、夜間にタクシーを一日およそ60台営業していますが、多くの飲食店が時短営業を行うなどした影響で、売り上げが3割、月に4000万円減り、経営に大きな影響が出ていました。

東京都の緊急事態宣言が解除されてから夜の営業については、感染拡大前のおととしの売り上げを上回る日が増え、時短要請の解除でさらに利用が増えることを見越して、25日は若干、営業する車両の数を増やしたということです。
57歳の運転手は「きょうをスタートに感染が再拡大することなく、年末の忘年会シーズンに向けて徐々に売り上げが増えていってくれることを願っています」と話していました。
三和交通の太田祥平社長は「タクシーの夜の営業は飲食店と一蓮托生で会社全体の売り上げの半分以上を占めるので、時短要請の解除への期待はとても大きいです」と話していました。

一方で「夜遅くまで飲みに行かなくなるなど、人々の流れがコロナ前と変わったという話もあり、どれくらい売り上げが戻るか不安もあります。お客様の利用記録を1、2週間単位で分析し、乗車を待つ場所や時間などを新しい利用スタイルに合わせて工夫したい」と話していました。

一方で忘年会 新年会離れの動きも

東京都や大阪府などで飲食店への時短要請が解除された一方で、今シーズンの忘年会と新年会について、およそ7割の企業が「開催しない」としていることが民間の調査会社のまとめでわかりました。

東京商工リサーチは、緊急事態宣言などが解除された後の今月1日から11日にかけて、インターネットでアンケート調査を行い、全国の企業合わせて8174社から回答を得ました。
それによりますと、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置に関係なく忘年会や新年会を「開催しない」と答えた企業が全体の70.4%にのぼりました。

去年12月の調査では、「開催しない」が全体の94.2%を占めていてそれと比べると開催しない企業の割合は23.8ポイント少なくなりました。

一方、開催すると答えた企業のうち、▽緊急事態宣言や重点措置に関係なく「開催する」と答えたのは1.3%にとどまり、▽緊急事態宣言や重点措置の対象区域となっていなければ「開催する」という条件つきの開催が合わせて28.1%となっています。

「開催しない」と答えた企業の割合を都道府県別にみると、奈良県が84.3%で最も高くなり、次いで大分県、栃木県、高知県それに、富山県が80%台で、高くなっています。

大都市圏では東京都が69.9%、愛知県が69.7%、大阪府が68.6%、福岡県が62.9%などとなっています。

調査した会社では、「企業の間では感染防止の意識が根付き、足元の感染状況に関わらず一定の人数の集まりを見送る傾向が強いことがわかった。飲食店の経営への影響も懸念される」と話しています。

外食大手 分かれる対応

東京都や大阪府などで飲食店に対する時短要請が解除されたのを受けて、外食大手の間では、25日から通常営業に戻す店舗がある一方、深夜営業の再開を見送るところもあり、経済活動の正常化への道筋が依然、不透明な中で対応が分かれています。
牛丼チェーンのすき家、吉野家、松屋の3社は東京都や大阪府など、時短要請が解除された地域の営業を25日から通常に戻し、24時間営業の店舗については深夜の時間帯を含め、一日中、店内飲食が可能になります。
また、マクドナルドも通常営業に戻し、24時間営業についても対象店舗の準備が整い次第、再開することにしています。
一方、居酒屋チェーンなどの中には、営業時間の一部短縮を続けるところもあり、「金の蔵」などを展開するサンコーマーケティングフーズは午後9時までとしていた営業時間を25日から延長するものの、午前0時以降の営業は当面、見送ります。

また、ファミリーレストラン大手では、ロイヤルホストが午後11時まで、サイゼリヤは原則、午後10時までとし、深夜営業の取りやめを継続するとしています。

酒を伴う飲食を含め、要請解除後の客の動向が見通しにくいことに加え、円安や原油価格の高騰で、食材や光熱費など店の運営コストが上昇していることなどを考慮したもので、経済活動の正常化への道筋が依然、不透明な中、各社で対応が分かれる形となっています。