ラグビー日本代表 オーストラリアに敗れる 国内テストマッチ

ラグビーの日本代表は、おととしのワールドカップ以来、2年ぶりとなる国内でのテストマッチを大分市で行い、強豪のオーストラリアと対戦して23対32で敗れました。

世界ランキング10位の日本は、おととし初めてのベスト8進出を果たしたワールドカップ日本大会以来、およそ2年ぶりとなる国内でのテストマッチを大分市の昭和電工ドームで行い、世界3位のオーストラリアと対戦しました。

試合は、会場の収容人数の50%を上限に観客を入れて行われ、1万7000人余りが訪れました。

日本は、おととしのワールドカップで活躍したナンバーエイトの姫野和樹選手や2年ぶりの代表に復帰したスクラムハーフの流大選手などに加えて、代表経験の少ない選手もメンバーに入りました。

試合は前半、タックルを受けながらつなぐ相手のオフロードパスから守備を崩されて先制を許すなど、リードされる展開となりましたが、その後は松田力也選手の巧みなキックパスからレメキ ロマノ ラヴァ選手がトライを決めるなど追い上げて前半は13対17で試合を終えました。

後半に入ると、レメキ選手が反則で10分間の退場となるなど苦しい状況が続き、2本のトライを連続で決められてリードを広げられたものの、中村亮土選手が相手のパスを奪ってそのままトライを決めたあと、田村優選手のペナルティーゴールで23対27と再び4点差に迫りました。

しかし、終了間際にトライを奪われた日本は23対32で敗れ、テストマッチでオーストラリアとの対戦成績は6連敗となりました。

ジョセフHC「ヨーロッパ遠征に向け改善したい」

日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチは「いいプレーができたと思う。選手たちのモチベーションも高く、よいところが見られたと思う。改善点の1つは規律の部分だ。17回の反則を出すと強豪チームには勝てない。試合の中でミスが起こった時間やタイミングが試合の結果に影響したと思う。チームとしてこのあとのヨーロッパへの遠征に向けて改善していきたい」と話していました。

姫野「勝てた試合だったので悔しい」

ナンバーエイトで先発出場した姫野和樹選手は「勝てた試合だったので、悔しい気持ちがある。自分は4年前、オーストラリア戦で日本代表としてデビューした。4年間でどれだけ成長したかがわかるような試合で、自分としては満足しているが、チームとしては悔しい」と振り返りました。

そのうえで、「国内で試合するのはことし初めてで緊張したが、ファンの前で試合するのは楽しくてまたやりたい気持ちだ。このあとテストマッチが3試合あるので、次はチーム一丸となって勝ちたい」と前を向いていました。

中村「ジャパンとして強くなっていきたい」

トライ1つを決めた副キャプテンの中村亮土選手は「ファンの前でプレーする幸せをかみしめながらプレーできた。ずっと勝つ準備をしてきたので、結果が伴わなくて悔しい。こういうビッグゲームでは、細かいところで差が出る。もっとディテールにこだわって練習していきたい。またレベルアップして勝つ準備をしながら、ジャパンとして強くなっていきたい」と話していました。

若手の成長 一定の成果示す

おととしのワールドカップ日本大会で、史上初めてベスト8進出を果たし、日本に興奮を届けたラグビー日本代表。

しかし、そこから2年間は、新型コロナウイルスの感染拡大で、国内で計画されていたテストマッチはすべて中止されました。

来年1月に新しいリーグの開幕を控えるラグビー界にとって、オーストラリアという世界トップクラスの強豪を迎えての試合は2年前の盛り上がりを取り戻すためにも重要な一戦でした。

おととしのワールドカップで活躍したプロップの稲垣啓太選手は「今回、自分の国でテストマッチを戦うことがどれだけの意味を持っているか理解しているので、勝たないと意味がない。これまでも自分たちがやってきたことを100%発揮できれば結果を残せることは証明してきたと思うので、また日本の皆さんと喜び合いたい」と試合に向けた思いを話していました。

また、今回の試合のもう1つ大きなポイントになっていたのが、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが育成してきた若手が質の高いプレーをできるかどうかでした。

試合のメンバーには、おととしのワールドカップを経験していない選手から9人、このうち2人はテストマッチに出場したことが全くない選手が選ばれました。

特に注目されているポジションが、攻撃の際にボールを展開する役割を担う「スクラムハーフ」。

ボールと人がスピーディーに動く、機動的なラグビーを目指している日本にとって最も大事なポジションの1つです。

おととしのワールドカップで活躍した流大選手が代表を離れていた期間、代役を務めた齋藤直人選手は、初めての代表活動となったことしの夏のヨーロッパ遠征では、高いパフォーマンスを見せました。

齋藤選手は「まだまだチームに欠かせない選手にはなれていないが、前回のヨーロッパ遠征での経験からいい準備ができている。流選手が復帰したことをよい機会にして成長したい」と話していました。

そして23日の試合では、途中出場して軽快にパスをさばくなど世界ランキング3位を相手にみずからの持ち味を見せました。

日本はオーストラリアにテストマッチで初勝利とはいきませんでしたが、一定の成果を示した一戦となりました。

敗戦も新たな司令塔の成長に手応え

世界ランキング3位の強豪オーストラリアとの試合でジェイミー・ジョセフヘッドコーチが収穫にあげたのが、司令塔となるスタンドオフとして先発した松田力也選手の成長でした。

日本代表のスタンドオフは田村優選手が長く務めてきて的確な判断力と正確なキックでおととしのワールドカップでも日本の史上初のベストエイトに貢献しました。

監督からも厚い信頼を置かれています。

ただ、田村選手は32歳で、日本代表にとっては再来年のワールドカップやその先に向けた新たな司令塔の育成が急務となっています。

松田選手はおととしのワールドカップでは田村選手の控えとして途中出場はあったものの目立った成績を残せませんでした。

コンディションが万全でない田村選手の代わりに23日の試合でおよそ3年ぶりに先発を任されたことについては「このチャンスをつかめると信じて自信を持って入った」とグラウンドに立ちました。

そして前半、敵陣でボールを持つと右サイドのわずかなスペースに走り込んだレメキ ロマノ ラヴァ選手に正確なキックパスを供給し、日本の最初のトライをお膳立てしました。

このプレーについては、レメキ選手からの呼びかけをしっかり聞いていたことを明かし「練習からやってきたことが出せた」と胸を張りました。

さらに試合終了まで安定したプレーを見せ、ペナルティーゴールなどで10得点をマークし「司令塔として落ち着いてゲームを進めることができたし、成長を感じることができた。きょうのプレーを自信にして次はチームを勝利に導けるようにコントロールしてもっとアピールをしていきたい」と納得できるプレーができたと自信を示しました。

ジェイミーヘッドコーチも「非常にバランスが良かったし、しっかりとボールを持って、前にしかけることができていた。得点をアシストしたキックパスと言うのはすごく象徴的なプレーで彼の成長を見られた」と高く評価しました。

松田選手が新たな司令塔としての地位を確立できるのか。

来月ヨーロッパで予定されている3試合のテストマッチでのパフォーマンスが再び問われることになります。