“荒くれ者”ビットコインが市民権?【経済記者コラム】

18日の週の株式市場では、あるニュースが市場関係者をうならせました。価格が乱高下することで知られる暗号資産=ビットコイン。その先物に連動したETF・投資信託が、ニューヨーク証券取引所に史上初めて上場したというのです。「歴史的な出来事だ」とまで興奮する市場関係者。ビットコインETFとは何か?どう歴史的なのでしょうか?(経済部記者 古市啓一朗)

20日の東京株式市場で、ある企業の株価上昇に注目が集まりました。

ネット証券の「マネックスグループ」は5.8%、金融関連企業の「マネーパートナーズグループ」が3.8%、「GMOインターネット」が1.1%と軒並み値上がりしたのです。

この3社には共通点があります。「ビットコイン」を取り扱っているということです。
株価上昇の震源地はニューヨーク。現地19日にニューヨーク証券取引所にビットコインの先物に連動したETF(=上場投資信託)が上場したのです。史上初めてのことです。

ビットコインのETFというとピンとこない人も多いと思いますが、直接ビットコインの現物を管理することなく、通常の株式同様に証券口座で売買できるのが特徴です。

ビットコインは誕生以来、価格の乱高下が課題でした。
急騰・急落を繰り返し、投機的な側面も強く、各国の法整備も不十分なことから“法定通貨”として認定したのは、中南米のエルサルバドルだけ。中国にいたっては、9月に事業を禁止する通達まで出しています。

取り引きは、専門の交換業者を通じてでしかできず、かなりのハイリスクを覚悟した「特別な」投資家が集まる場所でした。

それがETFという形になり、一般の投資家にもアクセスしやすくなったというわけです。言ってみれば“荒くれ者”が、ETFという衣をまとい、金融界の“市民権”を得たといえば分かりやすいでしょうか。

ある種、特殊でハイリスクな暗号資産が一般化したということで、市場関係者が興奮して「歴史的な出来事だ」と語るのはこういう理由が背景にあるようです。

日本国内ではこのビットコインETFの取扱業者はまだなく、まだハードルは高そうですが、アメリカでは証券口座を持っていれば個人投資家でも取り引きができることになったことで注目を集めているようです。

この話題で兜町を取材していて、おもしろい話を聞きました。足もとの金利上昇やインフレが長期化することへの警戒感もあり、プロであるヘッジファンドが現金資産の価値が目減りすることを警戒して投資を始めたとの見方が出ているというのです。

「インフレ時には資産価値が目減りしにくいとされる金」と、金融関係者から教えてもらった記憶がありますが、ビットコインETFが選択肢の1つになるとは、ちょっと驚きでした。

このETFの上場をきっかけに、ビットコイン自体も史上最高値を更新しました。

一方で、ビットコインなどの暗号資産をめぐっては警戒の視線も注がれています。

中央銀行や各国のマネーロンダリング対策を行う当局です。金融機関を介せず決済ができ、いとも簡単に国境を越えられ、犯罪にからむ資金の出どころを分からなくするマネーロンダリング=資金洗浄に好都合な条件がそろっているからです。

IMF=国際通貨基金は金融システムへの影響を分析したリポートを発表して監視強化が必要だと主張しています。

ビットコインはETFという衣をまとうことでおとなしくなるのか、今後の動きを注目していきたいと思います。

注目の予定

・10月26日(火)(アメリカ)9月新築住宅販売件数 (アメリカ)フェイスブック第3四半期決算
・10月27日(水) 日銀金融政策決定会合(1日目) 日本取引所グループ会見 (アメリカ)グーグル、ツイッター、マイクロソフト第3四半期決算
・10月28日(木) 日銀金融政策決定会合(2日目)黒田総裁会見 ソニー、三菱電機、中間決算発表 (アメリカ)第3四半期(7-9月)GDP速報 (ヨーロッパ)ヨーロッパ中央銀行理事会
・10月29日(金) 中間決算発表ピーク(ANAホールディングス、KDDI、三菱重工業など)(ヨーロッパ)第3四半期GDP速報

来週は、日米の主な企業の決算が相次いで発表されます。
また、アメリカの先月9月まで3か月間のGDPが発表されます。バイデン政権の発足以降、2期連続6%台の高い伸びでしたが、低い予想も出ていて、景気回復のピッチが鈍くなっていないかどうかを確認する重要な指標となりそうです。