“時短要請”解除 飲食店利用には「何に気をつければいい?」

新型コロナウイルスの感染状況が改善していることを踏まえて、各自治体は飲食店への時短要請解除の方針を相次いで打ち出しています。
京都府や兵庫県が22日から、東京都や大阪府などが25日からの解除を決定しました。

これから飲食店に行く際に、感染拡大を防ぐために私たちは何を気をつければいいのでしょうか?

専門家に聞きました。

「換気・人との距離・時間・人数に気をつけて」

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は飲食店の営業時間の短縮要請が解除されることについて「少しずつ社会経済を戻していかなければいけないが慎重に、段階的に行うことが求められる。飲食や会食の際には、換気にちゃんと注意しているか、人との距離がちゃんと取れているのかということもある。感染対策について第三者から認証された店の利用を推奨したい。時短要請はなくなるが、それぞれの人ができるだけ1時間半か2時間くらいで少人数でいつも会っている仲間と食事を楽しむことから始めて段階的に緩和していくことが大事だ」と話しています。

1つのテーブル4人以下 大阪の対策は

感染症に詳しい関西福祉大学の勝田吉彰教授は「ヨーロッパでは感染者が増えてきていて、国内でも今後、気温と湿度が下がれば再び増える可能性が高い。飲食店での実証実験など、どこまでが大丈夫でどんな行動にリスクがあるのか見極める試みをするために、時短要請などを解除するタイミングは今しかないと思う」と評価しました。
大阪府は、来店する1つのグループの人数を最大4人までとしていた制限について、府の認証を受けている店であれば1つのテーブルの人数を4人以下ならグループ全体の人数は制限しない形に緩和されます。
これについて勝田教授は、「1つのテーブルの人数が増えれば大声で話す機会が増え、飛まつが拡散するリスクが高まるので4人以下というのは合理的な判断だと思う。別のテーブルの人と大声で会話をしないようテーブル間の距離を一定程度、あけるなどの対策は必要で、利用者がお店のルールに協力する姿勢が大切だ」と指摘しました。

「テーブル間の移動・2次会がリスクに 上司の意識改革も重要」

さらに、人数以外についても注意が必要だとして、「お酒をつぐためにテーブル間を移動したり、2次会に行ったりということでもリスクは高まる。旧来の日本の飲み会の文化は見直すべきで、職場の飲み会であれば上司の意識改革が重要だ」と述べました。

そのうえで、「ワクチンの接種は今も進行中で飲み薬など治療薬の開発も道半ばという状況だ。新型コロナがインフルエンザ以上に緊張感を持って立ち向かわなければいけない病気であることに変わりはない。時短要請などが解除されても基本的な感染対策を徹底してほしい」と呼びかけていました。

宴会再開に期待するホテル

大阪・淀川区の「ホテルプラザオーサカ」では、宴会を、本格的に再開できると期待しています。

ホテルによりますと、4部屋ある宴会場の利用率は、新型コロナウイルスの感染拡大前には平均でおよそ8割でしたが、去年1年間は宴会や修学旅行の自粛などで1割から2割ほどに落ち込み、ことしも低い状態が続いています。

このホテルでは、現時点で宴会場について府の認証を受けていないため、宴会の本格的な再開に向けて申請の準備を進めています。
また、社員らが、これまでの利用客や、地元の企業に電話をして宴会の利用を呼びかけるなどの営業活動も行っています。

「ホテルプラザオーサカ」の菅原真太郎取締役は「年末の忘年会や年始の新年会を期待したい」と話していました。

全国の感染者数 最も少ない水準 一部で下げ止まりも

新型コロナウイルスの新規感染者数を1週間平均で比較すると、全国では、ことし8月末から新規感染者数が減少に転じ、
▽先月23日までの1週間は前の週に比べて0.50倍、
▽先月30日は0.55倍、
▽今月7日は0.55倍、
▽今月14日は0.61倍、
▽21日まででは0.62倍と、8週連続で減少しています。

1日当たりの新規感染者数はおよそ393人と、ことしに入って最も少ない水準となっています。

また、新規感染者数は34の都道府県で減少していますが、先月末まで緊急事態宣言が出されていた北海道や沖縄県では感染者数が大きく減ったあと、下げ止まりの状況になってきています。

感染再拡大に備え 接種済み証明書など使い実証実験 埼玉 上尾

感染が再び拡大した際に備え、埼玉県上尾市内の飲食店で、ワクチンの接種済み証明書や陰性証明書を提示することで時間や人数などの制限なく営業を可能とする実証実験が始まりました。

この実証実験は国と県が共同で行ったもので、埼玉県上尾市のJR上尾駅周辺の飲食店を対象に22日から始まりました。

実験では、
▽ワクチンを接種した際に受け取る接種済み証明書や、▽PCR検査などを受けた際の陰性証明書を客が提示し、店が確認した場合は時間や人数の制限なく飲食できます。
実験には、42の店が参加し、このうちイタリア料理店では、訪れた客が、ワクチンの接種を示す証明書を提示し、さっそく食事を楽しんでいました。

埼玉県内では、今月25日からすべての店で、営業時間の制限などがなくなりますが、実証実験は、証明書の有無で席を分ける形で、今月31日まで行われます。
埼玉県では、客へのアンケートなどを通じて、対策の有効性などを検討し、再び感染が拡大した場合の対応に活用するとしています。

実験に参加した「北の国バル上尾店」の川瀬公男店長は、「感染再び拡大した際に、自分たちがどうすれば安全が担保されるのか、行政と一緒に検証できたらいいと思います」と話していました。

「いまの状態 維持することが大事」

舘田一博教授は現在の感染状況について、「1日当たりの感染者数も300人台になってきており、順調に減少が続いている。東京では新規感染者が50人以下の日が続き、ワクチンの効果や1人1人の感染対策の効果が出てきている」と話しています。

一方で「沖縄と北海道では、下げ止まった状況がはっきりと見えてきている。いまは、しっかりと感染を下げきっているので、この状態をできるだけ長く続けることが大事だ。接種を望むすべての人にワクチンを打てるようにして、高齢者などへの3回目の接種を進める時間稼ぎをするためにもいまの状態を維持することが大事になる」と話しています。