ロシア 1日当たりのコロナ感染者・死者最多に 各地で対策強化

ロシアでは、新型コロナウイルスの1日当たりの感染者や死者の数がこれまでで最も多くなりました。首都モスクワでは、市当局が公共交通機関で義務づけられているマスク着用の徹底を図るなど、各地で対策が強化されています。

ロシアでは22日、新型コロナウイルスの1日当たりの感染者がおよそ3万7000人、死者の数が1064人と、いずれもこれまでで最も多くなりました。

感染拡大が収まらないことから各地で対策が強化されていて、首都モスクワでは、市の交通局が、路線バスや地下鉄などで利用者がマスクを着けているかチェックする職員を1日当たりおよそ100人増員しました。

公共交通機関でマスクの着用義務を怠ると日本円でおよそ8000円の罰金が科されるということで、駅の改札口では、職員を見て慌ててマスクを着ける人の姿が目立ちました。

ロシアでは、政府が承認している国産ワクチンへの不信感もあって接種を済ませた人は人口のおよそ3割にとどまっていて、プーチン大統領は20日、国民に接種を強く呼びかけました。

クレムリン近くにある百貨店に設けられた集団接種の会場には多くの市民が訪れていて、接種を受けた男性は「欧米のワクチンを待っていたが一向に入ってこないので、国産ワクチンを接種することにした」と話していました。

接種率 全人口の32%にとどまる

ロシア政府は、これまでに「スプートニクV」など5種類の自国製ワクチンを承認し、国民に接種を呼びかけていますが、21日の時点で接種を済ませた人は全人口の32%にとどまっていて、日本や欧米各国と比べて接種が遅れているのが現状です。

その背景には、まず新型コロナの感染力に対する人々の危機意識の低さがあるとみられます。

民間の世論調査会社「レバダセンター」が、ことし8月下旬に行った世論調査によりますと、55%が「感染を恐れてはいない」と答え、「ワクチンを接種するつもりがない」と回答した人も52%に上っています。

レバダセンターは、接種が進まない背景としてワクチンに対する不信感が根強いことも指摘しています。

ワクチンの効果に対する疑念や、副反応への懸念に加えて、政府への不信感が接種率の低さにつながっているということです。

感染の再拡大やプーチン大統領の強い呼びかけを受けて21日、モスクワにあるワクチンの集団接種会場には多くの市民が訪れていました。

ただ、「欧米のワクチンを待っていたが一向に入ってこないので、ロシアのワクチンを接種することにした」と話す人もいて国民の間で自国製ワクチンに対する不信感が完全に拭い去れていないことをうかがわせていました。